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第4号 2003/12/29
▼ まえがき
▼ 創作活動の二つの困難
▼ これまでの発明の点検
▼ 我々は効果の上がりやすいところから手をつけてきた
▼ 次回以降の予告
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まえがき
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蒲生嘉達です。お疲れ様です。
本メルマガは、慶の社員(正社員・契約社員)及び慶と
契約している個人事業主の方々に配信しています。
感想、異論、反論をお持ちなら是非返信してください。
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[5年後、システム開発の仕事はどのようになっているか?]
創作活動の二つの困難
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ワープロが登場する前は、本を書くという作業は下記の
工程を踏みました。
(1)作家の頭脳に構想が浮かびます。
(2)それを原稿用紙に書き、何度も推敲を重ね、何度も
書き直します。
(3)原稿が完成したら、印刷屋に版下の作成を頼みます。
(4)版下が出来上がってきたら、校正します。
但しこの段階で許されることは誤字脱字のレベルの小さな
修正のみです。
ワープロはこの作業を劇的に変えました。
(2)の修正作業が飛躍的に容易になりました。
手書きでは数時間かかった修正が瞬時に行なえるようになりました。
また(3)(4)の作業がなくなりました。
(2)の作業の中に(3)(4)の作業が含まれてしまったのです。
しかし、ワープロはその本の価値を決定づけるものでは
ありません。
その本の価値を決定づけるものは(1)の工程で生まれ、
(2)の作業の過程で育てあげられた「構想」なのです。
本を書くという作業の本質は構想を生み、それを練ることです。
それを本という物体に固定させる作業は付随的な作業と言えます。
人間の全ての創作活動は表現媒体を必要とします。
彫刻家にとっては石や木、ピアニストにとってはピアノが
表現媒体です。
そして、それぞれの媒体の特性に応じて、表現に伴う
困難が存在します。
つまり、創作活動の困難さには、創作自体の本質的な困難さと
媒体に表現することの困難さとがあるのです。
本を書くという作業では、構想を生み育てる困難さが
前者にあたり、それを本という固定的形式に定着させる
困難さが後者にあたります。
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[5年後、システム開発の仕事はどのようになっているか?]
これまでの発明の点検
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「創作活動の困難さには、創作自体の本質的な困難さと
媒体に表現することの困難さとがある」という視点をもって、
もう一度、第1号、第2号で紹介したこれまでの発明を点検して
みましょう。
その発明がどちらの困難を除去するために発明されたのかを。
OSが発明される前はプログラマはハードウェアの制御を
意識しなければならず、それがプログラマの構想を実現する上での
大きな障害となっていました。
OSはプログラマをハードウェアの制御という重荷から解放しました。
OSは正しくコンピュータという媒体に表現することの困難さを
除去する発明でした。
高級言語が発明される前は、プログラマはビット、レジスタ、
スタックなどの抽象度の低い概念を使って、抽象度の高い構想を
実現しなければなりませんでした。
高級言語もまた媒体に表現することの困難さを除去する発明でした。
UNIXはツリー構造のファイルシステム、標準入出力などの
高度な抽象化によってプログラミングを容易にしました。
それだけでなく、使い勝手のよい開発環境を提供することによって、
システム開発を容易にしました。このことは、ワープロが作家に
修正が容易で且つその効果を即座に評価できる環境をもたらした
ことと似ています。
UNIXもまた媒体に表現することの困難さを除去する発明でした。
一方、プロトタイピングの目的は、何を構築するかを的確に
決定することです。
また、インクリメンタルな開発とは、前もって完全な設計図を
作成することは不可能であることを認めた上で、システムを
漸増的に育てていこうというアプローチです。
つまり、プロトタイピングやインクリメンタルな開発は
構想を生み練り上げる困難さを除去するための発明です。
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[5年後、システム開発の仕事はどのようになっているか?]
我々は効果の上がりやすいとことから手をつけてきた
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これまでに劇的な効果を上げてきた発明は、媒体に表現する
ことの困難さを除去する発明でした。
構想を生み練り上げる困難さを除去するための発明は、
第3号で説明した「視覚化しにくい」「柔軟すぎる」
「量が増大すれば質が複雑化する」というソフトウェア
がもつ本質的困難さという強敵を相手に戦わなければ
ならなかったからです。
我々は効果の上がりやすいところから手をつけてきました。
それが、比較的初期に発明された特効薬が近年発明された
特効薬よりも劇的効果を発揮した理由なのです。
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次回以降の予告
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1/5 表現することの困難を除去する技術は今後どのようになって
いくのか?
1/12 本質的困難を除去する技術は今後どのようになっていくのか?
次号は、1月5日発行予定です。乞うご期待!!
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発行:
株式会社 慶
代表取締役 蒲生 嘉達
y_gamou@kei-ha.co.jp http://www.kei-ha.co.jp
TEL:03-5951-8490 携帯:090-1258-6347
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