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第9号 2004/02/02
▼ まえがき
▼ 人月の神話
▼ 銀の弾などない
▼ 「銀の弾などない」再発射
▼ ブルックスが予言できなかったこと
▼ 次回以降の予告
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まえがき
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蒲生嘉達です。お疲れ様です。
本メルマガは、慶の社員(正社員・契約社員)及び慶と
契約している個人事業主の方々に配信しています。
感想をお持ちなら是非返信してください。
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[5年後、システム開発の仕事はどのようになっているか?]
人月の神話
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変化の激しいこの業界にあって世界中で30年間読み継がれている
古典があります。
フレデリック・P・ブルックス,Jr.著「人月の神話」です。
ブルックスは、IBM OS/360用のOS開発マネジャーを務め、
その経験をもとに1974年に「人月の神話」を著しました。
OS/360用のOS開発で生じたさまざまな問題をもとに、プロジェクト
管理の問題点と今後どのようにすべきかを論じています。
30年前に書かれた本であるにもかかわらす、今読んでも新鮮で、
現在でも多くの本に引用されています。
Googleで「人月の神話」で検索すると2,500件以上ヒットします。
そして、それぞれのページを見てみると、本書がいかに
プロジェクトマネジャーやSEに読まれ、支持されているかが
分かります。
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[5年後、システム開発の仕事はどのようになっているか?]
銀の弾などない
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ブルックスは1986年に「銀の弾などない−ソフトウェア
エンジニアリングの本質と偶有的事項」という論文を書きました。
これは「今後10年間でプログラミング生産性の大規模な改善を
もたらすような、ソフトウェアエンジニアリングの発展は一つ
もないであろう」と予言した論文です。
「銀の弾などない」の論旨は下記のとおりです。
・システム開発には本質的部分と偶有的部分がある。
・これまでシステム開発において生産性を大幅に改善できた
部分は偶有的部分である。
・システム開発の本質的部分は、ソフトウェアが本質的に
もつ難しさ(複雑性、同調性、不可視性、柔軟性)の故に
生産性を大幅に改善できない。
・昔は偶有的部分の比重が大きかったが、偶有的部分の生産性が
大幅に改善されたことにより、1986年時点では本質的部分の
方が大きくなっている。
・したがって、今後10年間でプログラミング生産性の大規模な
改善をもたらすような、ソフトウェアエンジニアリングの
発展は一つもないであろう。
本メルマガの第1号から第4号までは、「銀の弾などない」を
参考にしています。
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[5年後、システム開発の仕事はどのようになっているか?]
「銀の弾などない」再発射
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ブルックスは、1995年に「人月の神話」20周年記念増訂版
を出版し、その中に「銀の弾などない」も収録しました。
この増訂版には、「人月の神話」「銀の弾などない」について
1995年時点でどのように考えるかを述べた章も追加されており、
その中で「銀の弾などない」の予言が基本的に正しかった
ということが述べられています。
本メルマガの第5号から第7号までは「銀の弾などない」と
増訂版で追加されたブルックスの見解を参考にして書かれています。
増訂版は日本では2002年に「人月の神話[新装版]」として
ピアソン・エデュケーション社から発行されました。
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[5年後、システム開発の仕事はどのようになっているか?]
ブルックスが予言できなかったこと
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私は「銀の弾などない」でのブルックスの意見は基本的に
正しいと思っています。
しかし、1995年に増訂版を書いたときですら、ブルックスが
気づいていなかった重要なことが一つだけあります。
1990年代以降、資本主義のポスト資本主義化がIT技術の発展を
促し、そのIT技術の発展がポスト資本主義化をさらに促すという
相乗作用が起き、それがシステム開発にも強力な影響を
与えるようになったという点です。
私はポスト資本主義化について、岩井克人氏の「会社はこれから
どうなるのか」(平凡社)を参考にして、本メルマガの第7号、
第8号を書きました。
私が第1号で「5年後のシステム開発についてかなりの部分予測できる」
というようなことを述べたのは、ブルックスの考えを基本にしながら、
ポスト資本主義化の影響を考慮していけば、5年後のシステム開発の
仕事は予測できると考えているからです。
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次回以降の予告
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2/9 「5年後システム開発の仕事はこうなる」まとめ
2/16 では、どうすればよいか?
2/23 シリーズのあとがきと次シリーズの予告
次号は、2月9日発行予定です。乞うご期待!!
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発行:
株式会社 慶
代表取締役 蒲生 嘉達
y_gamou@kei-ha.co.jp http://www.kei-ha.co.jp
TEL:03-5951-8490 携帯:090-1258-6347
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