メルマガ ソフトウェア業界 新航海術

ホーム

バックナンバー

2010年のシステム開発

航海術


  バックナンバーの全文検索
全バックナンバー(古い号が先)
全バックナンバー(新しい号が先)
5年後のシステム開発
ブルックスの法則
グーグルの衝撃
保存できないエディタ
製造業の呪縛
請負と派遣
永久運動の設計
大きくなるか、小さくなるか
ゴーイング・コンサーン
金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社
経営の基準となる数字
借入れと連帯保証
ソフトウェア振替という麻薬
賃金決定の仕組み
SE・プログラマの資質
○:その他

**************************************************************
_/_/_/_/_/_/_/  ソフトウェア業界 新航海術  _/_/_/_/_/_/_/_/_/
**************************************************************
第105号  2005/12/12
  ▼  まえがき
  ▼  [製造業の呪縛] 新産業分類ではソフトウェアはサービス業ではない
  ▼  [製造業の呪縛] 情報通信業などの大分類新設は国際的な流れ
  ▼  [製造業の呪縛] 「サービス業→お客様は神様」を生み出す曖昧さ
  ▼  [製造業の呪縛] 次回以降の予告


*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
  まえがき
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

こんにちは、蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

・第102号から「製造業の呪縛」シリーズを連載しています。

・「製造業の呪縛」シリーズを最初から読みたい方は、
 http://www.kei-it.com/sailing/back_maker_service.html 
 を参照してください。

・バックナンバーはブログでも公開しています。
 ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/



=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
  [製造業の呪縛] 新産業分類ではソフトウェアはサービス業ではない
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

「ソフトウェア業はサービス業だ」と主張している人も「いや、
やっぱり製造業だ」と主張している人も、一般的な産業分類では
ソフトウェア業はサービス業に分類されていると思っています。

しかし、それは間違いです。

日本標準産業分類では、ソフトウェア業はサービス業に分類されて
いません。「情報通信業」に分類されているのです。
( http://www.stat.go.jp/index/seido/sangyo/3.htm 参照)

確かに昔はサービス業に分類されていましたが、2002年3月の改定で、
「情報通信業」が新設され、ソフトウェア業はそこに分類されるように
なりました。


「情報通信業」は、単純に旧サービス業から分離したのではなく、
下記の3つが統合されたものです。
・電気通信と郵便業の一部(旧分類では「運輸・通信業」)
・新聞・出版(旧分類では「製造業」)
・放送、情報サービス、調査、映画・ビデオ制作、ラジオ番組制作
 (旧分類では「サービス業」)



=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
  [製造業の呪縛] 情報通信業などの大分類新設は国際的な流れ
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

2002年3月の改定では、他にも「医療、福祉」「教育、学習支援」が
旧サービス業から独立し、大分類となっています。

また、一般にはサービス業と思われている飲食店は、旧分類では
「卸・小売業」でしたが、旧サービス業の旅館・その他宿泊所と合体し、
「飲食店、宿泊業」となりました。


したがって、現時点で日本標準産業分類上、サービス業と言えるのは、
次の2分類のみです。
・複合サービス業:郵便業、協同組合
・サービス業(他に分類されないもの):
    専門サービス業(他に分類されないもの)、学術・開発研究機関、
    洗濯・理容・美容・浴場業、娯楽、修理、リース、広告など


「情報通信業」「飲食店、宿泊業」「医療、福祉」「教育、学習支援」
を独立した大分類にするということは、日本の総務省の独創では
ありません。
むしろ日本の総務省が国際的な流れに追随したというのが実態です。



=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
  [製造業の呪縛] 「サービス業→お客様は神様」を生み出す曖昧さ
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

もちろん、今でも、「有形の物を生産する第一次および第二次産業」
に対する「無形のサービスを供給する第三次産業」という概念は
存在します。

したがって、「ソフトウェア業は第三次産業だ」あるいは
「ソフトウェア業はサービスを供給する産業だ」という言葉自体は、
間違いではありません。

しかし、「第三次産業」「サービスを供給する産業」という概念が
あまりにも広すぎるので、「これはこういう意味で言っているんだ」
と説明しないと、イメージだけの無意味な言葉になってしまいます。

「ソフトウェア業はサービス業だ。サービス業ではお客様は神様だ。
だから、無理難題を何でもきけ」という乱暴な三段論法を展開する
人も出てきてしまうのです。


レイモンド氏も「魔法のおなべ」で「ソフトウェア業はサービス産業だ」
と言っています。
この言葉の意味するところは「ソフトウェア業を工場モデルで考えては
いけない」ということです。
そして、それを根拠にして、レイモンド氏は、ソフトウェア業界で
現実に起きている流れを説明し、未来を示唆しています。


> Red Hat をはじめとする Linux ディストリビュータがやっているのは、
> こういうことだ。かれらが実際に売っているのは、ビット自体という
> 意味でのソフトではない。
> ちゃんとうごく OS を組み立てて試験することによる付加価値なんだ。
>        (エリック.S.レイモンド著「魔法のおなべ」より)



=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
  [製造業の呪縛] 次回以降の予告
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

次号以降は次のようなテーマで書く予定です。

・オープンソース時代のソフトウェア会社のあり方
・製造を外注した場合のソフトウェア会社のあり方
・ソフトウェア全体を外注するサービス会社のあり方


次号は、12月19日発行予定です。

乞うご期待!!



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=
  本メルマガについて
*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=

本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
本メルマガのコンセプトは「読みものとしても面白い慶の事業計画」であり、
目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
慶と契約している個人事業主を想定しています。
彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は平成17年12月10日現在、444名です。


本メルマガの内容に興味を持つであろう方をご存知なら、是非
本メルマガの存在を教えてあげてください。

(以下をそのまま転送するだけです。)
---------------------------------------------------
【お勧めメルマガ ソフトウェア業界 新航海術】
⇒ http://www.mag2.com/m/0000136030.htm または
  http://www.kei-it.com/sailing/ 
--------------------------------------------------



このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して
発行しています。配信中止はこちら http://www.mag2.com/m/0000136030.htm
(但し、web@kei-ha.co.jp it@kei-it.com には直接配信しています。)

発行者Webサイト: http://www.kei-it.com/sailing/
(発行者Webサイトではバックナンバーの全文検索も可能です。)

バックナンバーはブログでも公開しています。
ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/


--------------------------------------------------
発行:
株式会社 慶
 代表取締役  蒲生 嘉達
 y_gamou@kei-ha.co.jp
 Webシステム開発事業部 http://www.kei-ha.co.jp
 ITサービス事業部 http://www.kei-it.com
 人材コンサルティング事業部 http://www.k-bank.jp
 TEL:03-5951-8490

☆ コピーや配布をされる時はご一報ください ☆
☆ このメルマガに対するご感想・ご質問はこちらにお寄せください。 ☆
            office@kei-ha.co.jp





[リンク元ページに戻る]    [新航海術ホーム]    [『まぐまぐ!』登録コーナー]

(c)Copyright Kei Co.,Ltd All Right Reserved