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第108号  2005/1/2
  ▼  まえがき
  ▼  [製造業の呪縛] 2006年のインフラ、ミドルウェア開発
  ▼  [製造業の呪縛] 2006年のアプリケーション開発
  ▼  [製造業の呪縛] 2006年の持ち帰り型一括請負
  ▼  [製造業の呪縛] 顧客と共に、他社と共に
  ▼  [製造業の呪縛] 特許
  ▼  [製造業の呪縛] 次回以降の予告


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  まえがき
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明けまして おめでとうございます。
本年も宜しくお願い致します。

蒲生嘉達(がもう よしさと)です。
今週号では、年頭に当たり、2006年の展望をお話します。
 


・第102号から「製造業の呪縛」シリーズを連載しています。

・「製造業の呪縛」シリーズを最初から読みたい方は、
 http://www.kei-it.com/sailing/back_maker_service.html 
 を参照してください。

・バックナンバーはブログでも公開しています。
 ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/



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  [製造業の呪縛] 2006年のインフラ、ミドルウェア開発
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2006年は、景気回復によって、システム開発の総量は増えていきます。

しかし、インフラ、ミドルウェアの世界ではオープンソース化が、
一層進みます。
(第107号「インフラの世界」
http://www.kei-it.com/sailing/107-051226.html 参照)

したがって、インフラ、ミドルウェアの世界では、メーカがソフト
会社に一括請負として発注する仕事の量は減少します。
開発案件の数は増えますが、オープンソースを使う、またはオープン
ソースをハッキングするなどによって、開発費を劇的に減らしていきます。

> 何を書けばいいかわかってるのがよいプログラマ。なにを書き直せば
> (そして使い回せば)いいかわかってるのが、すごいプログラマ。
>          (レイモンド著「伽藍とバザール」より)

インフラ、ミドルウェアの世界では、このようなハッキング型の開発
スタイルがますます主流になっていくでしょう。

したがって、メーカが大規模開発を一括請負として丸投げすることは減り、
オープンソースとの調整部分やハッキング部分のみの発注となり、
常駐型開発かごく小規模な一括請負が主流になるでしょう。

また、インフラの世界でも、開発ではなく、ネットワーク構築・運用
などのサービス分野は2006年も拡大し続けます。



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  [製造業の呪縛] 2006年のアプリケーション開発
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アプリケーションの世界では、昔はゼネコン型の一括請負が盛んでした。
メーカや大手SIerが、銀行や証券などの大手ユーザから一括請負し、
それを分割して孫請けに発注するというパターンです。

このパターンは2006年も減り続けるでしょう。

その理由は、次の二つです。
・きれいに切り出して孫受けに出せるような仕事が減ったから。
・きれいに切り出せる仕事はオフショアに出した方が安いから。

きれいに切り出せない開発のみが国内に残り、増え続けます。

きれいに切り出せない開発とは、顧客の環境に密に依存する開発です。
ここで言う「環境」とは、顧客の業務、ビジネスモデル、社内IT環境、
社内事情(組織、人間関係、場合によっては発注者の性格)などを含みます。
(第49号「日本に残る仕事」
http://www.kei-it.com/sailing/49-041115.html 参照)

そして、この種の開発は、次のような性格を持ちます。
・小規模
・短納期
・仕様変更が多発する。仕様が不明確でなかなか決まらない。
・客先常駐、または、元請常駐の要求が強い

したがって、2006年も客先常駐型の技術者の需要は増え続けます。
慶で言うなら、ITサービス事業部は市場拡大を前提として、積極的な
運営を図っていくべきです。



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  [製造業の呪縛] 2006年の持ち帰り型一括請負
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上述のとおり、インフラ、ミドルウェアの世界でも、アプリケーション
の世界でも、従来型のゼネコン的一括請負案件は減ります。


では、持ち帰り型一括請負で儲けられる会社はないのでしょうか?

そんなことはありません。

2005年に慶と取引の始まったG社は、持ち帰り型一括請負で成功
しています。

注目すべきなのは、G社は、開発技術の側からではなく、
ビジネスモデルの側からアプローチしているという点です。
コンサルティング、企画提案から運用・メンテナンスに至るまで、
顧客に長期的なサービスを提供しています。

「最初に持ち帰り開発ありき」ではなく、「最初に顧客満足ありき」です。

地方に事業所を持っているのみならず、大連に子会社も持っています。
地方での開発、海外での開発が有利な場合は、それらを十分に活用し、
東京本社で開発した方がメリットがあるもののみ、本社内で開発
しています。


慶としては、2006年は、大手エンドユーザであるD社に対し、
ビジネスモデルの側からアプローチをしていきたいと思っています。



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  [製造業の呪縛] 顧客と共に、他社と共に
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ここでもう一つ指摘しておきたいことは、ビジネスモデル側からの
アプローチとは、「顧客と共に」であると同時に、「他社との連携」も
意味しているということです。

中小ソフトウェア会社にとって、顧客満足は自社のみで実現できる
ものではないからです。

慶は、D社を満足させるために、データマイニングに強いU社、
マーケティングに強いS社と連携して話を進めています。



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  [製造業の呪縛] 特許
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第107号( http://www.kei-it.com/sailing/107-051226.html )で
発明を取り上げたところ、読者から、「ビジネスモデル特許が
難しい理由は、大概のビジネスモデル特許は他人の発明に依存し
単独で機能することがないからだ」というご指摘を受けました。


> 加えて、『その発明単独で実現可能か?』は、実施段階での大事な
> 一要素だと考えております。
> 多くの発明、特にビジネスモデル特許は、他人の発明に依存し単独で
> 機能することはなく、権利配分など様々な問題を抱えることになる
> のではないでしょうか?
> 
> 従って、単純発明で効果が高く、その製造コストが低く、同時に
> 製造段階でも他の発明に依存しないものが最も実現性が高いと考えます。



2006年は、慶の営業・企画部門では上述の「ビジネスモデル側からの
アプローチ」に加え、オリジナルサービスの開発、ソフトウェア特許
取得も積極的に進めていきたいと考えています。

(第107号「ある発明家との業務提携」
http://www.kei-it.com/sailing/107-051226.html 参照)



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  [製造業の呪縛] 次回以降の予告
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次号以降は次のようなテーマで書く予定です。

・ブルックスの法則を超えるもの
・贈与と交換
・ピアレビュー


次号は、1月9日発行予定です。

乞うご期待!!



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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
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彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は2006年1月1日現在、450名です。


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