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_/_/_/_/_/_/_/  ソフトウェア業界 新航海術  _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第111号  2005/1/23
  ▼  まえがき
  ▼  [大きくなるか、小さくなるか] オレが、オレがって奴ばっかり
  ▼  [大きくなるか、小さくなるか] 四大監査法人
  ▼  [大きくなるか、小さくなるか] 機能資本家が結合する企業形態
  ▼  [大きくなるか、小さくなるか] 「オレが、オレが」を大切にしながら
  ▼  [大きくなるか、小さくなるか] 次回以降の予告


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  まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

今週号から、もう一度、会社の適正規模「大きくなるか、小さくなるか」
について考えてみます。

・バックナンバーはブログでも公開しています。
 ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/


「大きくなるか、小さくなるか」シリーズでは、慶を含め、中小ソフト
ウェア会社にとって理想の組織はどのようなものか、考えていきます。



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  [大きくなるか、小さくなるか] オレが、オレがって奴ばっかり
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私の友人に大手の監査法人に務めている公認会計士がいます。
その友人から「公認会計士って『オレが、オレが』って奴ばっかりだよ。
SEも似てると思うけど・・・」という言葉を聞いたことがあります。

確かに、ある程度仕事ができるようになったソフトウェア技術者は
次の点で公認会計士に似ています。

(1)汎用的な技能
公認会計士の技能もシステム開発の技能もともに汎用的な技能です。
したがって、組織特殊的な技能を持っている人よりも、転職が容易です。

 関連事項:
  第36号「汎用的な人的資産を蓄積した従業員は流動的」
   http://www.kei-it.com/sailing/36-040809.html 
  第30号「組織特殊的な人的資産」
   http://www.kei-it.com/sailing/30-040628.html


(2)開業が容易
公認会計士は独立して税務の仕事ができます。(監査の仕事はできません。)
つまり組織に属さなくても、個人で開業できるのです。
ソフトウェア技術者も組織に属さず、個人で開業する(個人事業主になる)
ことが容易です。

 関連事項:
  第83号「個人事業主とは」
   http://www.kei-it.com/sailing/83-050711.html


(3)組織でなければできない仕事もある
それでは、監査法人という組織に入りたがる公認会計士がいる理由は
何でしょうか?
税務の仕事は個人でできますが、監査の仕事は個人ではできないからです。
ソフトウェア技術者にも組織に属さなければ、できない仕事もあります。


(4)責任の大きなプロジェクト
監査はチームで行うプロジェクトです。
また、その結果に対する責任が厳しく要求されます。
この点もシステム開発と似ています。



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  [大きくなるか、小さくなるか] 四大監査法人
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5人以上の公認会計士がいれば監査法人は設立できますが、中には
500人以上もの公認会計士を擁する巨大組織になっている監査法人も
あります。

いわゆる四大監査法人(あずさ監査法人、監査法人トーマツ、
新日本監査法人、中央青山監査法人)です。

このような巨大な監査法人は「オレが、オレがって奴」をどうやって
組織化しているのでしょうか?



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  [大きくなるか、小さくなるか] 機能資本家が結合する企業形態
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http://www.kei-it.com/sailing/pdf/111-060123.pdf は、
一般的な大手監査法人の組織図を簡略化したものです。 


社員総会が最高機関です。
ここで言う「社員」とは出資者のことです。
会社の基本方針は、社員総会において、総社員の過半数によって
決められます。

監査法人で働く公認会計士の全てが「社員」ではありません。
出資していない公認会計士は「職員」と呼ばれます。

監査法人の社員総会は株式会社の株主総会に似ていますが、次の
点で大きく異なります。

株式会社の株主総会はできることが極めて限定されています。
株主総会は取締役の選任はしますが、経営も業務の執行もしません。
その代わり、その結果責任も負いません。

一方、監査法人の社員総会は少なくとも理論的には何でも決められます。
監査法人の社員は、出資し、経営に参加し、業務の執行もし、そして、
結果責任も負うのです。

監査法人は、機能資本家(出資をし、かつ経営にも参加する資本家)が
結合する企業形態なのです。



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  [大きくなるか、小さくなるか] 「オレが、オレが」を大切にしながら
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次回以降で、監査法人の組織について、もう少し掘り下げます。

ソフトウェア会社が、規模を拡大しながらも、個人の「オレが、オレが」
を大切にし、創造的で高収益の会社になるためには、学ぶべき点が多いと
思うからです。

> 知的創造物を売る会社では、現場が個別に経営判断をして、
> その積み重ねが会社の判断になればいいんです。
>  (森永卓郎著「リストラと能力主義」より)


次のようなことを書こうと思っています。
・監査法人は合名会社。
・事業協同組合と合名会社との比較。
・機能資本家と社員持ち株制度との比較。
・機能資本家と事業部制、カンパニー制、企業グループとの比較。
・現実に中小ソフトウェア会社は運営上は株式会社ではないし、
 典型的な株式会社になる必要もない。
・新会社法との関連



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  [大きくなるか、小さくなるか] 次回以降の予告
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次号以降のテーマは上述のとおりです。

それ以外に、下記の技術系テーマもそのうち書きます。

・ブルックスの法則を超えるもの
・贈与と交換
・ピアレビュー


次号は、1月30日発行予定です。

乞うご期待!!



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また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
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