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○:その他

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第113号  2006/2/6
  ▼  まえがき
  ▼  [大きくなるか、小さくなるか] 190万円の貸倒損失
  ▼  [大きくなるか、小さくなるか] 「生命保険に入ってますよね」の意味
  ▼  [大きくなるか、小さくなるか] 電車に飛び込む人が後をたたない理由
  ▼  [大きくなるか、小さくなるか] 連帯保証人を取るのは日本だけ?
  ▼  [大きくなるか、小さくなるか] 次回以降の予告


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  まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

第110号から「大きくなるか、小さくなるか」シリーズを再開しています。
「大きくなるか、小さくなるか」シリーズでは、慶を含め、中小ソフト
ウェア会社にとって理想の組織はどのようなものか、考えていきます。

「大きくなるか、小さくなるか」シリーズを最初から読みたい方は、
http://www.kei-it.com/sailing/back_big_small.html 
を参照してください。

バックナンバーはブログでも公開しています。
ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/



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  [大きくなるか、小さくなるか] 190万円の貸倒損失
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2003年9月、慶の顧客(以下I社と呼びます)が経営破綻し、民事再生法の
適用を受けました。

資本金5,000万円、従業員数約150名、年商約18億のそこそこの規模の
ソフトウェア会社でした。
しかも、親会社が大証一部上場企業だったので、民事再生法適用は
私にとっても寝耳に水でした。

業績悪化の直接的な原因は一括請負の失敗でしたが、同時期に親会社が
経営破綻したため、親会社からの支援が受けられなかったということも
背景にありました。

2003年9月時点のI社に対する慶の売掛金は約550万円でした。
その後、2回の弁済があり、2005年7月に残余財産確定後の最終配当があり、
2005年9月に清算決了しました。
全額が弁済されたわけではなく、慶としては2006年3末決算で約190万円を
貸倒損失として計上することになります。


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  [大きくなるか、小さくなるか] 「生命保険に入ってますよね」の意味
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さて、2003年9月に民事再生法の申請をした直後に、I社本社で債権者
説明会で行われ、200名位の債権者が出席しました。
私もその中の一人でした。

その際、ある債権者とI社社長との間で次のようなやりとりがありました。

債権者:社長は自宅をお持ちですよね。
I社社長:抵当権が付いていて、それを売っても弁済に回せる金は
    出てきません。
債権者:社長は生命保険に入ってますよね。
I社社長:・・・。


ここで債権者が言わんとしていることは、「自殺して金を払え」と
いうことです。



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  [大きくなるか、小さくなるか] 電車に飛び込む人が後をたたない理由
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後日、私は生命保険のセールスマンに「自殺でも生命保険は出るんですか?」
と質問しました。

生命保険のセールスマン曰く。
「出るんですよ。だから、電車に飛び込む人が後をたたないんですよ。」


よく人身事故で電車が止まります。
私は、この話を聞くまでは、なぜ電車でこれほど人身事故が多いのか
分かりませんでした。
そして、「不注意で人身事故を起こしているのなら、人の迷惑を考え
ない人たちだ」と思っていました。
しかし、この話を聞いて、「彼らは人に迷惑をかけないために飛び込
んでいるんだ」ということが分かりました。
彼らは生命保険で借金を返そうとしているのです。

それ以来、車中で「○○駅と○○駅間で人身事故が発生したため、電車に
遅れが生じています」というアナウンスを聞くたびに、
「自分さえ死ねば、会社も家族も債権者も救われるんだ」という
債務者の悲痛な思いを感じるようになりました。



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  [大きくなるか、小さくなるか] 連帯保証人を取るのは日本だけ?
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失敗した経営者を追い詰める最大の問題は、「連帯保証」です。

中小企業が銀行から借入れをするとき、経営者は連帯保証人になる
ことを要求されます。(大企業の場合は要求されません。)


> 社長は自宅を担保に入れ連帯保証をして借入れ、万一破綻すれば
> 全部パーッとばかりにすべてを失う。再起をしようにも生活費すら
> ままならないのが実情となる。それ以上に再度挑戦しようにも失った
> 信用は大きく、まるで犯罪者扱いをされる。
>
> 倒産で個人破産にも直面した経営者は43.4%、その中で再び起業を
> 実現した人は13.7%。これは半数が再起業する米国に比べると極端に低い。
> 再起の最大の障害は資金調達である。個人財産を担保に出していたり
> 連帯保証していることにより過半数の経営者が1億円以上の債務を
> 背負い、3/4が自宅の売却を迫られている。
>
> (「e-経営コンサルタント通信」http://www.mirai-j.co.jp/mmback/md25.htm )


多くの評論家や学者はこの問題について下記のように語ります。

(1)日本は直接金融が機能していなからダメなんだ。
(2)米国では銀行もVCも事業の可能性に金を貸す。日本では銀行やVCが
 事業の可能性を判断できないから、連帯保証に頼るのだ。
(3)先進国の銀行で連帯保証人を取るのは日本だけだ。


私も以前は、銀行が連帯保証人を要求するのは日本の金融の後進性の
現われだと思っていました。
しかし、現時点では、違った考え方をしています。
上記(1)(2)(3)はウソだと思っています。


考察は次号に続きます。



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  [大きくなるか、小さくなるか] 次回以降の予告
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次号以降は次のようなテーマで書く予定です。

・「日本は直接金融が機能していなからダメなんだ」のウソ

・二つの道:
 (1)徹底した情報公開によって出資金を集める(株式会社としての王道)
 (2)個人企業の良さを生かした日本版LLC型ソフトウェア会社

・差異性を生み出せる会社とは?
・その中での、自由と自己責任とは?(無限責任との関係が重要)


それ以外に、下記の技術系テーマも、そのうち書きます。

・ブルックスの法則を超えるもの
・贈与と交換
・ピアレビュー


次号は、2月13日発行予定です。

乞うご期待!!



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  本メルマガについて
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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
本メルマガのコンセプトは「読みものとしても面白い慶の事業計画」であり、
目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
慶と契約している個人事業主を想定しています。
彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は2006年1月21日現在、457名です。


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