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第114号  2006/2/13
  ▼  まえがき
  ▼  [大きくなるか、小さくなるか] 連帯保証人制度は日本だけ(?)
  ▼  [大きくなるか、小さくなるか] それが無ければ大半の中小企業は潰れる
  ▼  [大きくなるか、小さくなるか] 有限責任性を否定していない
  ▼  [大きくなるか、小さくなるか] 規模は問題ではない
  ▼  [大きくなるか、小さくなるか] 次回以降の予告


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  まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

第110号から「大きくなるか、小さくなるか」シリーズを再開しています。
「大きくなるか、小さくなるか」シリーズでは、慶を含め、中小ソフト
ウェア会社にとって理想の組織はどのようなものか、考えていきます。

「大きくなるか、小さくなるか」シリーズを最初から読みたい方は、
http://www.kei-it.com/sailing/back_big_small.html 
を参照してください。

バックナンバーはブログでも公開しています。
ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/



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  [大きくなるか、小さくなるか] 連帯保証人制度は日本だけ(?)
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第113号では、失敗した経営者が連帯保証人制度によって追い詰められ、
自殺にまで至る姿を描きました。

中小企業が融資を受ける際に連帯保証人を求められることについて、
多くの評論家や学者は次のように語ります。

(1)日本は直接金融が機能していなからダメなんだ。
(2)米国では銀行もVCも事業の可能性に金を貸す。日本では銀行やVCが
 事業の可能性を判断できないから、連帯保証に頼るのだ。
(3)先進国の銀行で連帯保証人を取るのは日本だけだ。

Googleで「銀行、連帯保証人、日本」などで検索すると、すぐに
そのような主張に出会います。

例:
http://hiraharayoshihiro.president-blog.jp/e514249.html
> ここには、「貸した人の責任や落度」は全くありません。
> 先進国でこういう制度があるのは、日本だけです。

http://shomon.net/seikei/keieiso4.htm
> このことは、世界の中で稀有なことなんですよ。
> アメリカでもフランスでも韓国でもやっていません。



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  [大きくなるか、小さくなるか] それが無ければ大半の中小企業は潰れる
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しかし、私の意見は少し違います。

この問題は日本の銀行の土地担保主義と密接に関係しています。
借入れのかなりの部分は、連帯保証となる社長が持つ不動産を実質的な
担保としています。
会社が小さければ小さいほど、この不動産担保ローン的な性格は
強まります。

日本の銀行の土地担保主義は、世界でも稀なことでしょう。

しかし、私は土地担保主義が良くないと言っているのではありません。

森永卓郎氏は「年収300万円時代を生き抜く経済学」の中で、
「土地担保主義の金融システムは、地価が下落しないことを前提に
するなら、世界最強と言ってもよいメリットをいくつも持っていた」
という意味のことを述べています。

土地担保主義によって銀行のリスクが小さくなり、その結果として
次のメリットが生まれるからです。

(1)銀行は自己資本に比べてより大きな融資ができるようになり、
 そのため、中小企業により潤沢な資金を供給できるようになる。
(2)融資先の審査が簡単になり、銀行にとっても融資先にとっても
 審査の負担が軽くなる。
(4)リスクが小さいから、低金利で貸せるようになる。


森永卓郎氏は「担保で融資を十分にカバーできないアメリカの銀行は、
日本の2倍の利ざやを取っている」と言っています。

もしも連帯保証人制度がなければ、融資金利は消費者金融並みになり、
大半の中小企業は潰れてしまうでしょう。



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  [大きくなるか、小さくなるか] 有限責任性を否定していない
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また、株式会社の有限責任制とは「株主が有限責任だ」と言う意味です。
したがって、下記のような主張は少し違います。

> 株式会社の代表取締役というのは、「有限責任」ですから、いわば
> 「無限責任」と言っていい個人保証を会社の債権者に対して差し入れては
> ならないというのが、欧米の資本主義の原理原則なのです。
>   ( http://shomon.net/seikei/keieiso4.htm )


銀行は連帯保証を株主に求めているわけではなく、代表者個人に求めて
いるのです。
したがって、株式会社の有限責任制を否定しているわけではありません。
しかし、中小企業の場合、代表者個人が株式の過半数を持っている
場合が多く、そのような意味では、「株主が無限責任を負っている」と
言えなくもありません。

さて、世の中には、株主が無限責任を負う法人もあります。
合名会社、合資会社です。

上記のように「連帯保証によって株主(=社長)が無限責任を負っている」
という意味では、日本の中小株式会社は、実態としては合名会社、
合資会社に近いということも言えるでしょう。



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  [大きくなるか、小さくなるか] 規模は問題ではない
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多くの中小ソフト会社は、下記の(1)の戦略からスタートし、(2)(3)の
戦略をどの程度実行できるかによって、大きさが規定されます。

(1)経営者個人が出資できる資本金、経営者個人が負担できる連帯保証の
 枠内で小規模に運営していく。

(2)利益を上げて、内部留保を増やし、自己資金で賄える部分を増やす。
(3)出資者を増やし、自己資金で賄える部分を増やす。


大企業にはならないかもしれません。
また、大きくなるにしても小さな企業の連合体となるかもしれません。
必ずしも大きくならなくてもよいのです。

知的創造社会では、会社の規模はあまり問題ではありません。


> 第一次産業の商品であるお米を生産したり、第二次産業の商品である
> お豆腐を作る場合、作る人の才能によって、それほど生産額に違いはない。
> 同じ土地や同じ原材料を使っていたら、付加価値の差は、作る人によって
> せいぜい数割だろう。
> ところが、知的創造物となると、それこそ一銭にもならない人から
> 何億円稼ぐ人まで、生み出す付加価値に途方もない格差がついてくる。
> 
>     (森永卓郎著「年収300万円時代を生き抜く経済学」より)




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  [大きくなるか、小さくなるか] 次回以降の予告
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次号以降は次のようなテーマで書く予定です。

・知的創造社会と格差

それ以外に、下記の技術系テーマも、そのうち書きます。

・ブルックスの法則を超えるもの
・贈与と交換
・ピアレビュー


次号は、2月20日発行予定です。

乞うご期待!!



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