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○:その他


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第130号  2006/6/5
  ▼  まえがき
  ▼  [賃金決定の仕組み] 労基法では管理職でも深夜労働手当はある
  ▼  [賃金決定の仕組み] 管理職手当とは、みなし労働手当
  ▼  [賃金決定の仕組み] 夜、横になってからも業務について考える
  ▼  [賃金決定の仕組み] 賃金規定に明記する必要がある
  ▼  次回以降の予告


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  まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

今週号では、管理職の深夜労働手当について解説します。

「賃金決定の仕組み」シリーズに分類します。

「賃金決定の仕組み」シリーズを最初から読みたい方は、
http://www.kei-it.com/sailing/back_salary.html を参照してください。

バックナンバーはブログでも公開しています。
ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/



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  [賃金決定の仕組み] 労基法では管理職でも深夜労働手当はある
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管理職の時間外手当について、社会保険労務士から次の説明を受けた
ことがあります。

> 時間外労働の適用除外者として、「労働者の従事する業務の性質
> または態様からみて、労働時間に関する法的規制を適用することが
> 必ずしも適当でない場合があり、
> 
> 1.天候など自然的条件に左右される事業に従事するもの 
> 2.監督・管理の地位にある者、機密の事務を取り扱う者 
> 3.監視・継続的労働に従事する者で労働基準監督署長の許可を受けたもの
>  
> は適用除外」と労基法上、定められています。
> 
> 尚、時間外労働、休日労働の適用除外の管理職の方でも、PM10時〜
> AM5時までの深夜労働に関しては、25%以上増しの割増賃金の支払は
> 発生します。


労働基準法上、管理職(監督・管理の地位にある者)が時間外手当の
適用除外者であることは、よく知られています。
しかし、管理職でも深夜労働手当は払わなければならないこと
(上記説明での「尚、」以降)は、あまり知られていません。



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  [賃金決定の仕組み] 管理職手当とは、みなし労働手当
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しかし、現実には管理職に深夜労働手当を払っていない会社は多いと
思います。

これは違法なのでしょうか?

社労士や労働基準監督署に質問すれば、即座に「違法」という回答が
返ってくるでしょうが、本メルマガでは「必ずしも違法ではない」
という説明をします。


そもそも管理職手当とは何でしょうか?

結論から言うと、管理職手当とは、深夜労働手当、時間外労働手当、
休日労働手当の「みなし労働手当」です。
管理職が1ヶ月にするであろう深夜労働、時間外労働、休日労働に
およその目星をつけて一定額で支給するというのが管理職手当
なのです。

多くの人は、「管理職になると責任が重くなるから管理職手当が付く」
つまり「管理職手当とは職務の責任に応じた報酬である」と考えて
います。

しかし、職能資格制度では基本給と役職手当が密接にリンクされて
います。
「責任が重くなるから基本給も上がる」とも言えるし、「基本給が
上がるから責任が重くなる」とも言えます。
職務の責任に応じた報酬は、全てではありませんが、かなりの部分、
基本給の中に含まれているのです。

責任等級制度や職務給制度ではそれがさらに徹底されます。
職務の責任範囲に応じて基本給を決めるのが責任等級制度、
職務内容に応じて基本給を決めるのが職務給制度だからです。



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  [賃金決定の仕組み] 夜、横になってからも業務について考える
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「主任→係長→課長→部長」と役職が上昇し、役職手当がUPしていく
につれて、時間ではなく成果が求められます。

とは言っても、成果を上げるためには、普通は労働時間も増えます。
しかし、それは必ずしも社内での労働ではありません。
むしろ、社内で人と同じことをやっていても、人と違う成果は出ない
のです。

夜、横になってからも業務上の問題について考える必要も出てきます。

下記はマイケル・レヴィン著「「壊れ窓理論」の経営学」からの引用です。

> 執念を持たなければ失敗する。
> 夜、横になってからも業務の改善や顧客サービスの向上、目下の
> 壊れ窓の修理について考える。そうでなくては、自分の仕事を正しく
> こなしているとは言えないのである。

ここでの「壊れ窓」とは、小さな問題という意味です。
この言葉は経営者に対するものですが、管理職にもある程度
あてはまります。


このような深夜労働をどのようにカウントすればよいのでしょうか?
やはり「みなし」でいくしかないのです。

役職の上昇は、労働時間に関する裁量の拡大であり、したがって、
みなし労働時間の拡大なのです。



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  [賃金決定の仕組み] 賃金規定に明記する必要がある
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先に

> 社労士や労働基準監督署に質問すれば、即座に「違法」という回答が
> 返ってくるでしょうが、本メルマガでは「必ずしも違法ではない」
> という説明をします。

と書きました。

「必ずしも」が付いているのは、「管理職手当にどの程度の深夜労働
手当、時間外労働手当、休日労働手当が含まれているのかが賃金規定に
明記されていれば」という条件付きだからです。

慶では、WEBシステム開発事業部と管理本部の賃金規定の改訂を行い、
今年7月1日に施行します。
そこには、管理職手当に含まれる深夜労働手当、時間外労働手当、
休日労働手当が明記されています。

ITサービス事業部の賃金規定改訂についても近日中に検討に入ります。



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  次回以降の予告
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次号以降では次のようなテーマを取りげていきます。

技術系:
・グーグルの衝撃
 (本を読むこと、ネットで読むこと)
・OSS(オープンソースを持ち上げる人々、オープンソースの実態)
・Linux台頭とSUN
・メーカからの請負、エンドユーザからの請負
 (品質管理、検収、瑕疵担保責任の違い)
・オブジェクト指向再論
・PMBOK
・SEO対策

外国系:
・中国は脅威か?

法務系:
・コンプライアンス
・取締役と執行役員

労務系:
・雇用契約、裁量労働制、個人事業主
・景気回復、新卒の採用難、2007年問題

営業系:
・売れる営業マン


次号は、6月12日発行予定です。

乞うご期待!!



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  本メルマガについて
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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
本メルマガのコンセプトは「読みものとしても面白い慶の事業計画」であり、
目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
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彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は2006年6月3日現在、498名です。


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