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○:その他

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_/_/_/_/_/_/_/  ソフトウェア業界 新航海術  _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第146号  2006/9/25
  ▼  まえがき
  ▼  [グーグルの衝撃] クリンジリーの映画スタジオモデル
  ▼  [グーグルの衝撃] 進化した映画スタジオモデル
  ▼  [グーグルの衝撃] 近未来のソフト業界の主要なプレーヤー
  ▼  次回以降の予告


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  まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

第138号から「グーグルの衝撃」シリーズを開始しています。

このシリーズではIT業界の現在と未来について考えます。

「グーグルの衝撃」シリーズを最初から読みたい方は、
「バックナンバー グーグルの衝撃」
( http://www.kei-it.com/sailing/back_google.html )を参照して
ください。

または、ブログ( http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/ )の
左列にあるCategories「グーグルの衝撃」をクリックして
ください。


バックナンバーは、発行者サイトまたはブログで、体系として
見てもらいたいので、「まぐまぐ!」でのバックナンバー公開は
最新号のみとなっています。

発行者Webサイト: http://www.kei-it.com/sailing/
バックナンバーブログ:http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/



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  [グーグルの衝撃] クリンジリーの映画スタジオモデル
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「コンピュータ帝国の興亡」の「第15章 未来のコンピューティング」
の中でロバート・X・クリンジリーは、ハリウッドの映画制作のような
方式でソフトウェアを生産すべきだと主張しています。
要約すると次のようなことです。

 ハリウッドの映画スタジオは、資金、管理、製造、そして配給の
 機能しか持っていない。それ以外のほとんどすべては外部との契約
 でまかなっている。ライター、監督、プロデューサー、俳優と
 いったほとんどすべての人間は、契約によって雇っている。
 
 ソフトウェア業界もこのモデルを採用すべきだ。
 映画スタジオモデルを採用したソフトウェア会社のマネージャは、
 それぞれの仕事に合わせて最良のスタッフを調達することになる。
 
 また、大物になりたい人間は自分のスタジオを作ってもいいし、
 現代の映画界の独立プロデューサのようにアイデアと才能を結び
 つける仕事をしてもいい。


スティーブン・スピルバーグやジョージ・ルーカスの世界です。



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  [グーグルの衝撃] 進化した映画スタジオモデル
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「コンピュータ帝国の興亡」は1991年に書かれた本です。
その後、インターネットの爆発的な進歩があり、現代の映画スタジオ
モデル論は次のように進化しています。

 通信コストが低下し続け、インターネットの統合力が強まれば、
 企業による集中的な管理とは無縁の状態であっても、企業が行って
 いる活動の大半は市場を介して行えるようになる。産業界は、
 ハリウッドの映画制作のような方式で、商品を生産するようになる。

上記は「ITにお金を使うのは、もうおやめなさい」の中で、ニコラス・
G・カーが要約したIT革命論者たちの主張です。


梅田望夫著「ウェブ進化論」では「ハリウッドの映画制作のような
方式」という言葉は使われていませんが、梅田望夫氏やWeb2.0革命を
標榜するベンチャー企業の経営者は、おそらく次のような考え方に
賛同するのではないでしょうか。

「今後は様々なウェブサービスAPIを無料または無料に近い金額で
利用できるようになる。斬新なアイデアを持った若くて俊敏な企業は、
それらのAPIを利用して極めて容易にシステムを作り上げ、インター
ネット上でビジネスを展開できる。そして、インターネット上の
ビジネスは極端に変化の激しいものである。
したがって、それらの俊敏な企業は長期継続型の組織ではなく、
ハリウッドの映画制作のように、目的に応じて解散と再結成を繰り
返す組織になるであろう。」



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  [グーグルの衝撃] 近未来のソフト業界の主要なプレーヤー
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梅田望夫著「ウェブ進化論」を読むと、近未来のソフトウェア業界の
主要なプレーヤーは次の三者になるように思えます。

(1)ウェブサービスAPIを提供する巨人

グーグルやアマゾンのように、ウェブサービスAPIを無料または
無料に近い金額でグローバルに提供する巨人たちです。
ウェブサービスAPIは技術的には、誰でも作ることも公開することも
できますが、それで大儲けをするためには、まず無料または無料に
近い金額で提供して、デ・ファクト・スタンダードの地位を確立
しなければなりません。そのためには規模が必要なのです。

参考記事:
 第144号「デ・ファクト・スタンダード」
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/09/post_a59f.html
 http://www.kei-it.com/sailing/144-060911.html


(2)映画スタジオモデル

アイデアと才能あふれる小さな会社です。
公開されているウェブサービスAPIを駆使して、ごく短期間に優れた
システムを作り、それを使ってインターネットサービスを提供する
会社です。
長期継続型の組織ではなく、ハリウッドの映画制作のように、必要に
応じて解散と再結成を繰り返す組織です
。

(3)厖大なアマチュア群

ここには次の3種類の人々が含まれます。
・無償でウェブサービスAPIを作るオープンソースプログラマ。
・ウェブサービスAPIを使って自社システムを作成するユーザ。
・アドセンスやアマゾン・ウェブサービスなどで小遣い稼ぎをする人々。


そして、一方で、ネットの「こちら側」にいるインハウス開発や
パッケージは徐々に衰退していくように思われます。
「インハウス開発」については、第103号を参照してください。

 第103号「インハウス開発とは」:
 http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2005/11/post_5f75.html
 http://www.kei-it.com/sailing/103-051128.html


本当にそうでしょうか?

次号以降では、長期継続、企業文化、会社組織が、ウェブサービス
時代だからこそ重要なのだという話をします。



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  次回以降の予告
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次号以降では次のようなテーマを取りげていきます。

グーグルの衝撃シリーズ:
・ウェブサービス時代のソフトウェア会社のあり方

ゴーイング・コンサーンシリーズ:
・会社は継続しなくてもよいという考え方もある。
・メリーチョコレートを支えている人事制度。
・IPOとゴーイング・コンサーン

財務系
・資産と費用

法務系:
・コンプライアンス
・執行役の裁量の範囲と取締役会の決定権

労務系:
・裁量労働制


次号は、9月25日発行予定です。

乞うご期待!!



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  本メルマガについて
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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
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目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
慶と契約している個人事業主を想定しています。
彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は2006年9月23日現在、550名です。


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