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○:その他

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_/_/_/_/_/_/_/  ソフトウェア業界 新航海術  _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第35号  2004/08/02
  ▼  まえがき
  ▼  [SE・プログラマの資質] ソフトウェア開発を有償化する方法
  ▼  [SE・プログラマの資質] 本物のプログラマは孤独が好き
  ▼  [SE・プログラマの資質] システム開発のストレス要因
  ▼  [SE・プログラマの資質] 性格か能力か
  ▼ 次回以降の予告

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  まえがき
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蒲生嘉達です。お疲れ様です。

本メルマガは2003年12月8日に創刊され、第32号(2004年7月12日号)
までは、慶の社員(正社員・契約社員)及び慶と契約している個人
事業主の方々のみに配信していました。

しかし、第33号からは一般の方々にも公開します。
http://www.kei-it.com/sailing/ を参照してください。
ここでバックナンバーを見ることができますし、バックナンバーの
全文検索もできます。

さて、慶としては来年の新卒の秋採用を本格的に開始しています。
そこで、先週号から「SE・プログラマの資質」シリーズをお届け
しています。


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  [SE・プログラマの資質] ソフトウェア開発を有償化する方法
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本メルマガでは、ソフトウェア開発、システム開発、ソフトウェア
製品開発という言葉を次のように区別しています。

(1)ソフトウェア開発
「ソフトウェア開発」は「ソフトウェアを作るという行為」という
意味で使っています。「プログラミング」とほぼ同義です。
したがって、必ずしも金銭的な報酬を前提としていません。
そのため、下記のような無償プログラムを作る行為も含まれます。
・自分が使うためだけに作ったプログラム。
・純粋な知的好奇心のために作ったプログラム。
・フリーウェア。

ソフトウェア開発を有償の行為とするためには、二つの方向があります。
「システム開発」と「ソフトウェア製品開発」です。

(2)システム開発
本メルマガでは「システム開発」という言葉を「請負事業としての
ソフトウェア開発」という意味で使用しています。
「ソフトウェア業界 航海術」で解説したとおり、請負事業としての
ソフトウェア開発には、請負と準委任が含まれます。
請負であろうと準委任であろうとシステム開発は、請負事業でない
ソフトウェア開発と下記の点が異なります。
・顧客ニーズを満たすことが目的である。
・顧客の他のシステムと複雑に関連する場合が多い。
・開発規模が大きい。

(3)ソフトウェア製品開発
ソフトウェア開発を有償化するもう一つの方向は、ソフトウェア
製品開発です。パッケージ商品として流通させるという方向です。
そのためには下記が必要となります。
・汎用性を高め、ユーザの様々なニーズに応えられるようにする。
・様々なユーザにとって使用、修正、拡張が容易であるようにする。
・操作方法などを一般ユーザ向けに文書化する。
・セールスとマーケティング。


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  [SE・プログラマの資質] 本物のプログラマは孤独が好き
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第34号では、プログラミングという仕事の喜びと苦しみについての
ブルックスの見解を紹介しました。
http://www.kei-it.com/sailing/34-040726.html

その中で、ソフトウェア開発のストレス要因、つまりプログラミング
という行為そのものストレス要因と言えるものは下記の二つです。

> ・すべて完璧にこなさなくてはならない。
>  呪文の一字一句たりとも正しくなければ魔法は使えないのと同様、
>  完璧でなければプログラムは動かない。
> ・壮大なコンセプトをデザインするのは楽しいが、微細なバグを
>  見つけ出すのは、あきあきするような骨の折れる単純労働である。

完璧性が要求される作業である、細かく骨の折れる作業であるという
ブルックスの指摘に、私は「孤独な作業である」ということを付け
足します。

ソフトウェア技術者は、一人で調査する、一人で設計する、一人で
プログラミングする、一人でデバッグするといった長時間の孤独な
作業から逃れることができません。
プログラミングは一つの頭脳の中で完結される知的創造的活動だからです。

「本物のプログラマは孤独が好きである」ということを前提として、
職場環境や人間環境を考えていくべきです。
また、「孤独に弱い人はソフトウェア開発に向かない」ということを
前提として、求職者はこの職業を選ぶべきであるし、会社も採用選考を
すべきなのです。

これは下記の言葉と一脈通じるものがあります。
「本物のクリエイターは、常にひとりで、苦痛を伴いながら作品を
生み出すのである。」
(安田 佳生著「採用の超プロが教えるできる人できない人」より)


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  [SE・プログラマの資質] システム開発のストレス要因
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第34号で紹介したブルックスの見解の中で、「システム開発」の
ストレス要因、つまり「請負事業としてのソフトウェア開発」の
ストレス要因と言えるものは下記の二つです。

> ・目的を設定しリソースを提供し情報を与えるのは、別の人間である。
> ・他人に依存する。他人が作ったインタフェースに合わせたり、
>  他人が作ったプログラムを苦労して調べて修正しなければならない。

さて、第12号では、昨今のシステム開発を下記のように説明しました。

(1)グローバル化と標準化に起因する低価格化・短納期化圧力が存在します。
(2)しかし、設計は技術的・非技術的要因によって容易には圧縮できません。
(3)したがって、下記の三つが求められます。
A.製造技術の進化による製造部分のより一層の高速化。
B.ユーザの積極的関与による設計・製造全体の圧縮。
C.「ユーザの積極的関与による漸増的開発」を前提とした新しい
 契約モデルの創出。
(第12号 http://www.kei-it.com/sailing/12-040223.html 参照)

このような状況下で、下記のようなストレス要因が増大しています。

○ハードスケジュール:
   厳しい時間制限の中で仕事をすることを強いられる。

○チームワーク:
   一人で自由に動けない。

○意見交換/調整:
   意見の交換をし、たえず連絡をとる。

○人間関係の葛藤:
   意見の異なる人と仕事する。人間関係がギスギスする。

○矢面に立つ:
   相手にとって喜ばしくない事実や情報を伝えたり、人の嫌がる
   ようなことを実行する。

○突発への対処:
   突然何かを命令される。前もって計画を立てる時間やチャンスがない。

※上記ストレス要因の定義は、日本エス・エイチ・エル社作成
 「ストレス耐性レポート」を参考にしています。


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  [SE・プログラマの資質] 性格か能力か
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今日の話をまとめてみましょう。

プログラミングとは「完璧性が要求される・細かく骨の折れる作業・
孤独な作業」というストレス要因に満ちた仕事です。
したがって、プログラマとして成功する人とは、これらのストレス
要因に鈍感な人です。
完璧性を強いられているという意識なしに完璧な仕事をする人、
細かいことをやっていると感じずに細かいことをやれる人、
孤独だと感じずに孤独な仕事をしている人です。
これは能力や技能よりも性格的な要素が大きいと思います。

これに請負事業としてのストレス要因が加わります。
それは根本的には顧客発のストレス要因です。
このストレス要因に鈍感な人とは、顧客からの要求に最大限に従い、
顧客を満足させながらも、自分自身は「やらされ感」を持たない人です。
これは性格よりも能力や技能の要素が大きいと思います。


下記はいずれも、安田 佳生著「採用の超プロが教える できる人
できない人」からの引用です。

> 望まれているレベルを超えれば、「やらされ感」から抜け出すことが
> できる。

> 顧客との交渉において、主導権を握り、対等に話がしたいと思う
> ならば、もらった金額以上のメリットを相手に与えつづけるしかない。




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  次回以降の予告
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次号は、8月9日発行予定です。乞うご期待!!



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