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○:その他

添付ファイルあり(PDF形式)=>41-040920.pdf
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_/_/_/_/_/_/_/  ソフトウェア業界 新航海術  _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第41号  2004/09/20
  ▼  まえがき
  ▼  [金持ちソフト会社] 付加価値=売上高−変動費
  ▼  [金持ちソフト会社] 個人事業主や契約社員の給与
  ▼  [金持ちソフト会社] 個人事業的な会社での正解
  ▼ 次回以降の予告:中小ソフト会社での【問1】の答え

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  まえがき
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蒲生嘉達です。お疲れ様です。

本メルマガは2003年12月8日に創刊され、第32号(2004年7月12日号)
までは、慶の社員(正社員・契約社員)及び慶と契約している個人
事業主の方々のみに配信していましたが、第33号からは一般の方々
にも公開しております。
発行者Webサイト: http://www.kei-it.com/sailing/ で、
バックナンバーを見ることができますし、バックナンバーの全文検索も
できます。

読者数が増えれば、ソフトウェア業界の情報発信基地へと発展させていき、
業界に新しい流れを作っていきたいと願っております。



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  [金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社] 
 付加価値=売上高−変動費
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金持ちソフト会社シリーズ第2章では、
第25号( http://www.kei-it.com/sailing/25-040524.html )で述べた
「理想の財務」を発展させていきます。

会計の話しをするとき、文章と数字だけではなく図が必要になるとき
があります。しかし、「まぐまぐ」では画像ファイルを添付できないので、
サイトに置きます。
今回は、http://www.kei-it.com/sailing/pdf/41-040920.pdf を
参照しながら読んでください。


図1は基礎知識の復習です。
売上高、売上原価、売上総利益、販管費(販売費および一般管理費)、
営業利益、税金、当期利益 の関係を思い出してください。
覚えていない方は第14号( http://www.kei-it.com/sailing/14-040308.html )
を参照してください。

「図2.ソフト会社の付加価値」は図1に、外注費、賃金、役員報酬など、
そして「付加価値」を書き加えたものです。

売上高から変動費を引いたものが付加価値です。

変動費とは売上に比例して増えていく支出です。
例えば、八百屋では野菜などの仕入れが変動費です。

K-CODEショップで基礎体温計を売る店がありますが、
http://kcode.jp/shop/fp
この店では基礎体温計の仕入れや郵送料等の費用は、売上に
比例して増えていく費用です。したがって変動費です。
一人で小売店を営む場合は、付加価値と売上総利益(粗利)は
一致します。(図3.一人で小売店を営む場合 参照)

しかし、その小売店が店員を雇ったとしましょう。
店員の賃金と売上は比例しないので、その店員の賃金は変動費では
ありません。売上が増えても減っても発生する固定費です。


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  [金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社] 
 個人事業主や契約社員の給与
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ソフト会社では変動費のほとんどは下記の三つです。
丸数字は図2での丸数字です。

A外注費(協力会社)
B外注費(個人事業主)
C契約社員

慶が個人事業主へ支払う報酬は、個人売上から一人当たりの販管費負担
を引いた金額です。契約社員の給与は、そこからさらに契約社員特有の
売上原価(会社負担の法定福利費等)を引いた金額となります。

ここには「付加価値の分配」という発想はありません。
だから、個人事業主や契約社員の給与は分かりやすいのです。

個人事業主や契約社員の給料を増やすためには下記の方法しかないのです。
・営業が優良顧客を開拓し、高い単価で仕事を取れるようにする。
・技術者個人がスキルアップし単価を上げる。また、それを慶が支援する。
・技術者の数を増やすことによって、技術者一人当たりの販管費負担を減らす。
・販管費を減らし、技術者一人当たりの販管費負担を減らす。



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  [金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社] 
 付加価値の分配
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一方、次の六つは付加価値の分配です。丸数字は図2での丸数字です。

D正社員の賃金(技術)
E正社員の賃金(営業・事務)
F役員報酬
Gその他の販管費
H税金
I当期利益(内部留保)

それぞれが競合関係にあります。
つまり、一つを増やせば、その分他が減るのです。
他を減らさず、個々を増やすためには、付加価値全体を大きくしなければ
なりません。分配のパイを増やさなければならないのです。

この中でDEの正社員の賃金とFの役員報酬を足した金額が、
「人件費」であり、付加価値における「人件費」の割合を「労働分配率」
と呼びます。

労働分配率=人件費÷付加価値 です。

適切な労働分配率、適切な正社員の給与の割合、役員報酬の割合は、
非常に重要な問題です。
また、これまで私も突き詰めて考えてこなかった問題です。
これらについては別途論じるとして、今週は、税金、内部留保の
問題について論じます。

第40号で提起した問題の中で【問1】の問題です。

> 決算書上の利益は限りなく0に近づけて節税すべきか?
> それとも、節税はあきらめて利益の半分を国に吸い取られても
> 決算書上の利益を出すべきか?



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  [金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社] 
 個人事業的な会社での正解
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個人事業の延長線上にある零細ソフト会社には、次のような三つの
パターンがあります。

(1)社長自らSEとして他社に常駐している。つまり、実体はフリーSEで、
 形だけ会社にしているに過ぎない。
(2)社長自らが10名位の技術者派遣をやっている。
(3)上記の兼業型。社長自らSEとして他社に常駐して、且つ数名の
 技術者派遣をやっている。

これらの個人事業的な会社での【問1】の正解は明らかです。
「役員報酬を取れるだけ取って、税金と利益は限りなく0に近づける」
です。

パターン(2)を指向している元SE社長から「会社を作り社員を数名
雇いましたが、個人事業主としてSEをやっていたころと比べて、年収は
半減しました」というボヤキを聞いたことがあります。
事務所経費(家賃・光熱費・各種備品)を払い、人材募集費を払い、
営業経費をかけて、十数名の技術者を使っても、それによって得られる
付加価値はフリーSE時代の給与よりも減る場合が多いでしょう。

したがって、大概の零細ソフト会社の社長は(3)のSE兼業社長です。
しかし、SE兼業社長になったとしても、それによって得られる付加価値は
フリーSE時代の給与を大きくは超えないでしょう。

「役員報酬を取れるだけ取る」といっても個人事業的なソフト会社の
付加価値などタカがしれています。
個人事業的な人材紹介会社なら、大儲けしているところはありそうですが・・・。

個人事業的なソフト会社では、売上が減り、現金が不足したときは、
社長の役員報酬は0となり、それでも足りない場合は社長の個人の
口座から支払ったり、社長がカードローンで借りて支払っています。

大概の会社は一度は個人事業的なソフト会社の時代を通過しています。
しかし、いつまでも個人事業的なソフト会社に留まっている会社の将来は
あまり明るいものではありません。

ある程度の売上と利益が無ければ、銀行から融資を受けることができません。
人材募集をするためにも、ある程度の規模と事務所と募集費が必要です。
積極的に投資をするためには内部留保も必要です。
人を雇い、一生懸命働いてもらうためには、幹部や役員になれるストーリと
ポストが必要です。

個人事業的なソフト会社にはこれらがありません。


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  [金持ちソフト会社、貧乏ソフト会社] 
 次回以降の予告:中小ソフト会社での【問1】の答え
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それでは、慶のように個人事業的会社のレベルは脱した中小ソフト会社
での【問1】の答えは何でしょうか?
それは次号で解説します。

次号は、9月27日発行予定です。乞うご期待!!



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