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第67号  2005/03/21
  ▼  まえがき
  ▼  [保存できないエディタ] 市販ソフト開発の手順を具体的に
  ▼  [保存できないエディタ] アルファ版、ベータ版、ガンマ版
  ▼  [保存できないエディタ] マイルストーン
  ▼  [保存できないエディタ] 次回以降の予告


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  まえがき
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こんにちは、蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

第57号から「まぐまぐ!」での読者数が急に増えてきました。
第56号までは200名だったのに、今では332名です。
読者も「日本のソフトウェア請負開発は何かおかしい」という思いを
お持ちなのだと思います。

第57号を書いたときは3,4回のシリーズにするつもりでしたが、
請負契約や開発プロセスについては話題が尽きず、今回でシリーズ
11回目となります。

「5年後のシステム開発」シリーズから独立させて、「保存できない
エディタ」シリーズとしました。
まとめて読みたい方は下記URLを参照してください。
http://www.kei-it.com/sailing/back_editor.html



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  [保存できないエディタ] 市販ソフト開発の手順を具体的に
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第65号で「市販ソフト開発に見る漸増的開発の基本形」を次のように
述べました。

> (1)後から機能を追加できるように柔軟性のある設計を行い、最初に
>  核となる小さな製品を開発します。
>  「核となる小さな製品」とは、市場の要求をぎりぎり満たしている
>  レベルの製品です。
>
> (2)その後ひとつずつ機能を拡張しテストを完了していきます。
>  製品として出荷可能なバージョンを常に確保しておけるという
>  ところがミソです。
>
> (3)上記作業によって、製品のイメージが固まるにつれて要求仕様を
>  再確認し、設計を見直すことも可能となります。
>
> (4)開発会社は、機能拡張をある時点で中断し、市場に出荷します。


これだけだと今ひとつイメージが湧かないと思うので、今週号では、
実際の手順について、営業系作業も含めて、もう少し具体的に書きます。

また、よく耳にする用語「アルファ版」「ベータ版」などの意味も
解説します。


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  [保存できないエディタ] アルファ版、ベータ版、ガンマ版
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表でまとめた方が分かりやすいので、
「漸増的開発プロセスによる市販ソフトウェア開発の作業手順の例」
http://www.kei-it.com/sailing/pdf/67-050321.pdf を参照しながら
読んでください。

この例では、アルファ版、ベータ版、ガンマ版、出荷直前版、出荷版の
5つの版をリリースしています。
アルファ版、ベータ版、ガンマ版について以下に解説します。

----------------------------------------------
(1)アルファ版
核となる小さな製品です。
最低限必要な機能はすべて実装され、出荷できる品質も確保できています。
実際に使ってみて感触を確かめることができますが、まだ実装されて
いない機能もたくさんあります。

この後、ベータ版に向けて、外部設計・内部設計の改善、追加機能の
実装を行います。

また、営業関係では、パッケージデザイン、広告資料の作成、マニュアルや
ヘルプの作成を開始します。

----------------------------------------------
(2)ベータ版
アルファ版よりも機能が追加されています。
社外の協力者に製品を実際に使ってもらい(社外のベータテスト)、感想を
求めることができる状態です

設計上の問題点はほぼ解決していますが、社外の評価次第で修正が
発生する可能性はあります。

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(3)ガンマ版
ベータ版よりもさらに機能が追加されています。
これ以降は機能追加も機能削減もありません。
開発系の残り作業は、バグ修正と性能向上のみです。

この時点でユーザインタフェースを凍結し、ヘルプを完成させ、
マニュアルやパンフレットを印刷します。

広告を出し、営業を開始します。



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  [保存できないエディタ] マイルストーン
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上記は一つの例であり、アルファ版、ベータ版、ガンマ版という
言葉の意味もプロジェクトによって変わります。

しかし、上記説明で、漸増的開発による市販ソフトウェア開発の
イメージがより明確に浮かんできたのではないでしょうか?

システム開発の進捗管理では「マイルストーン」という言葉が、よく
使われます。日本語に訳すと「里程標」「里標石」「一里塚」です。
スケジュールの中で、日付が振られた、節目となる重要なイベントの
ことです。

上記例では、アルファ版、ベータ版、ガンマ版が重要なマイルストーン
なのです。



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  [保存できないエディタ] 次回以降の予告
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次回以降は下記の項目について書いていきます。

・オーダーメイド開発の多い日本での漸増的開発はどのように考えたら
 よいのか?

・請負開発での重要なマイルストーンは「受け入れテスト項目の決定」。

・ウォータフォール型開発でまだ論じていない問題点。

・契約には違反していないが、製品として欠陥がある場合(第57号
 での例のような場合)の考え方。



次号は、3月28日発行予定です。

乞うご期待!!



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ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。


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