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第75号  2005/05/16
  ▼  まえがき
  ▼  [保存できないエディタ] 米国でのテストのアウトソース・ビジネス
  ▼  [保存できないエディタ] テストのオフショア(米国→インド)
  ▼  [保存できないエディタ] 実は漸増型開発とも意外と相性がいい
  ▼  [保存できないエディタ] 付け足し:第三者検証(IV&V)
  ▼  次回以降の予告


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  まえがき
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こんにちは、蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

「保存できないエディタ」シリーズをスタートした第57号から
「まぐまぐ!」での読者数が急に増えてきました。
シリーズ開始前は約200名だったのに、今では362名です。
読者も「日本のソフトウェア請負開発は何かおかしい!」という思いを
お持ちなのだと思います。

当初は3,4回のシリーズにするつもりでしたが、請負契約や開発プロセス
については話題が尽きず、今回でシリーズ19回目となります。

「保存できないエディタ」シリーズをまとめて読みたい方は下記URLを
参照してください。
http://www.kei-it.com/sailing/back_editor.html


第72号を書いているときには、「そろそろ本シリーズのまとめに入って、
第75号くらいで完結させよう」と思っていました。
しかし、第74号でテストのアウトソーシングにまで言及したので、
このシリーズはもうしばらく続きます。
テストのアウトソーシングについては、いくつか気になっていることが
あるからです。


尚、テストのアウトソーシングの話をするときの「テスト」とは、
通常はブラックボックステストのことです。
ホワイトボックステストとブラックボックステストについては第71号
http://www.kei-it.com/sailing/71-050418.html
を参照してください。



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  [保存できないエディタ] 米国でのテストのアウトソース・ビジネス
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日本では、昔も今も「テストのアウトソーシング」という発想はほとんど
ありません。
外注を使う場合にも、日本のメーカや元請SIは製造からホワイトボックス
テストまでを下請けに出し、ブラックボックステストは社内でやるのが
一般的です。
しかし、米国ではテストをアウトソーシングすることがよくあります。

本シリーズでよく引用している「基本から学ぶソフトウェアテスト」
(Cem Kaner,Jack Falk,Hung Quoc Nguyen著)でも、テストのアウトソーシング
について非常に具体的に説明されています。
いかに具体的で実務的な説明であるか理解していただくために、二つだけ
文章を引用します。

> アウトソーシングの契約を結ぶ前に、技術者の面接を躊躇せず徹底的に
> 行う必要がある。

> 技術の高い企業は、間接費や固定費の分を上乗せして契約を行うもの
> である。コンサルティング企業であれば3倍の請求をすることが多い。
> 例えば時間当たり3000円で契約していても、そのうち技術者に相当する
> コストは1000円である。

一方、日本の学者が書いたソフトウェアテストの本で、テストのアウト
ソーシングについて書かれているものは、私は見たことがありません。

「基本から学ぶソフトウェアテスト」ではテストのアウトソーシングの
具体的な説明の後で、次のように総括しています。

> 全体的に見ると、テストのアウトソーシングはそこそこ評価できる。
> デメリットよりもメリットの方がとても多い。アウトソーシングを
> 役立てることができる組織は多いだろう。

これが米国における標準的な考え方だと思います。
つまり、米国ではテストがアウトソース・ビジネスとして独立して存在
しているのです。



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  [保存できないエディタ] テストのオフショア(米国→インド)
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インドもテストを独立したアウトソース・ビジネスとして捉えています。

インドのメジャーなITサービス企業であるウィプロ(Wipro)には、
2,000名以上の品質保証(QA)の専門家がいるそうです。
http://www.mercury.com/jp/company/pr/press-releases/113004wipro.html
には、次のように書かれています。

> Wiproは、現在、2,000名以上の品質保証(QA)の専門家が、金融・流通・
> 公共・製造・通信などのさまざまな業界、および組み込みシステム/
> アプリケーション分野で、100 社以上の顧客に対して、テストサービスと
> 品質保証サービス、ならびにテストプロセスのコンサルティングを提供
> しています。

日本での中国オフショアは、製造からホワイトボックステストまでを
中国で行い、ブラックボックステストは日本で行うのが通常のパターンです。
国内ソフトウェア会社への外注と同じパターンです。

しかし、米国からインドへのオフショアでは、米国で製造したシステムを
インドでテストするというパターンも多いようです。



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  [保存できないエディタ] 実は漸増型開発とも意外と相性がいい
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開発コストの中でテストが占める割合はどの程度でしょうか。
製品の性格によって異なりますが、運用と保守を除く初期開発コストの
30%〜50%を占めると言われています。
これをアウトソーシングできるなら、その意義は大きいはずです。

しかし、テストのスケジュールは上流の工程の進捗に依存してしまうため、
見積もりが難しいはずです。
また、実装が遅れたり、予想よりバグが多かったり、ユーザインタフェース
が確定しない場合には、テストの時間が膨らんでしまいます。
普通に考えると、テストのアウトソーシングは難しいと思ってしまいます。
これを米国ではどのようにやっているのか、次号以降で解説します。

また、普通に考えると、設計からテストまでを並行して進める漸増型開発
プロセスではテストのアウトソーシングはやりづらいと思ってしまいます。
しかし、本当は違います。
実は、漸増型開発プロセスとテストのアウトソーシングとは、意外と
相性がいいのです。
このあたりも次号以降で解説します。

もう一つあります。
製造業の製造工程と、ソフトウェアの製造工程とは全く異なっています。
しかし、製造業における品質管理とソフトウェアの品質管理とは
似ているのです。
これは、ソフトウェア工場よりもテスト工場の方が実現しやすいことを
意味しています。
このあたりも次号以降で解説します。



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  [保存できないエディタ] 付け足し:第三者検証(IV&V)
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本シリーズで取り上げる「テストのアウトソーシング」は、いわゆる
「第三者検証」IV&V(Independent Verification and Validation)とは
違います。
第三者検証(IV&V)は、独立したテスト機関が実施する検証や評価
であり、通常の商用アプリケーションのテストではありません。



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 次回以降の予告
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次回以降は下記の項目について書いていきます。

・米国でのテストのアウトソーシング。
・漸増型開発プロセスとテストのアウトソーシング。
・ソフトウェア工場かテスト工場か。


次号は、5月23日発行予定です。

乞うご期待!!



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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
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彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。


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