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第78号  2005/06/06
  ▼  まえがき
  ▼  [保存できないエディタ] 日本での外部人材活用の2形態(派遣と請負)
  ▼  [保存できないエディタ] 米国でのアウトソーシングの3分類
  ▼  [保存できないエディタ] 下請け型・派遣型アウトソーシング
  ▼  [保存できないエディタ] 意識としては「横受け型アウトソーシング」
  ▼  次回以降の予告


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  まえがき
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こんにちは、蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

「保存できないエディタ」シリーズをスタートした第57号から
「まぐまぐ!」での読者数が急に増えてきました。
シリーズ開始前は約200名だったのに、今では380名です。
読者も「日本のソフトウェア請負開発は何かおかしい!」という思いを
お持ちなのだと思います。

「保存できないエディタ」シリーズをまとめて読みたい方は下記URLを
参照してください。
http://www.kei-it.com/sailing/back_editor.html



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  [保存できないエディタ] 日本での外部人材活用の2形態(派遣と請負)
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日本では、外部人材活用の形態は、「派遣」と「請負」しかありません。
そして、「派遣」と「請負」の違いは次のように説明されます。

・労働者が派遣会社と雇用契約を結び、指揮命令は客先で受ける形態が
 「派遣」である。

・客先常駐自体は、「派遣」か「請負」を決定付けるものでない。
 「自由裁量の余地のない作業指示」を直接受けているか否かが問題である。

・客先常駐でも雇用されている会社から(例えば雇用されている会社の
 リーダから)作業指示を受けているなら請負である。

・また、技術者が客先に常駐して直接作業指示を受けても、自由裁量の
 余地のある専門的な仕事なら請負(準委任)である。


これらについての詳細は下記を参照してください。

派遣については、第52号「人材派遣業は指揮命令権のレンタル業」
http://www.kei-it.com/sailing/52-041206.html

偽装請負については、第53号「大手業務請負会社の業務請負」
http://www.kei-it.com/sailing/53-041213.html

準委任については第54号「準委任と人材派遣を分かつもの」
http://www.kei-it.com/sailing/54-041220.html



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  [保存できないエディタ] 米国でのアウトソーシングの3分類
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> 米国では「請負」「派遣」という区分けよりもむしろ、外部人材活用を
> アウトソーシングと位置づけ、1)下請け型アウトソーシング、
> 2)派遣型アウトソーシング、3)横受け型アウトソーシング(特定の機能を
> 一括して外部に委託する方式)――と区分けする方が一般的なようだ。
>
> 独立行政法人 労働政策研究・研修機構「米国:人材ビジネス最前線」より
> http://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2005_1/america_01.htm


米国では労働者派遣法もなく、「派遣」の正式な定義も存在しません。
「労働市場や労働契約に国が介入すべきではない」という考え方なの
かもしれません。

余談になりますが、米国での人材ビジネスの約30%を占めると言われている
PEO:Professional Employer Organization(簡単に言うと、派遣会社と
クライアントの両方が労働者と雇用契約を結ぶ形態)は、日本では共同雇用
が法律で禁止されているので、成り立ちません。
日本の規制の多さの一例です。


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  [保存できないエディタ] 下請け型・派遣型アウトソーシング
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さて、アウトソーシングの3分類について考えていきましょう。
1)下請け型アウトソーシング
2)派遣型アウトソーシング
3)横受け型アウトソーシング(特定の機能を一括して外部に委託する方式)

ソフトウェア業界での「下請け型アウトソーシング」は、いわゆる
一括請負です。
そして米国での一括請負はウォータフォール型であることは既に述べました。
この点については下記を参照してください。
・第73号「ファウラー氏の請負契約観」
 http://www.kei-it.com/sailing/73-050502.html
・第61号「米国ではウォータフォールは増えている(?)」
 http://www.kei-it.com/sailing/61-050207.html


また、一般の労働者が客先に常駐して作業をした場合は、「派遣型
アウトソーシング」です。
たとえリーダが常駐して、そのリーダの下で作業をしても、やはり
「派遣型アウトソーシング」と扱われるようです。

> 一つの企業や工場に大量の派遣労働者を就労させている派遣元事業者の
> ほとんどが、現場に自社の管理者を置いて労働者の管理を行っており、
> 日本では「請負」の範疇に属するものが、「派遣」の扱いになっている
> 場合も多い。
>
> 独立行政法人 労働政策研究・研修機構「米国:人材ビジネス最前線」より
> http://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2005_1/america_01.htm



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  [保存できないエディタ] 意識としては「横受け型アウトソーシング」
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では、プログラマが客先に常駐して作業をした場合は、「派遣型アウト
ソーシング」なのでしょうか?

ピート・マクブリーン著「ソフトウェア職人気質」には、客先常駐を
奨励するような記述があります。

> ユーザのすぐ隣で開発を行うことで、要件に関するコミュニケーション
> の質、量ともに向上させることができます。従って、要件が複雑な
> アプリケーションではこういったことを真剣に考えるべきでしょう。
>
> (ピート・マクブリーン著「ソフトウェア職人気質」より)


果たして、ピート・マクブリーンは「派遣型アウトソーシング」を
奨励しているのでしょうか?

答えは否です。

今週号では、結論だけ言います。

・「大規模開発・一括請負・ウォータフォール型開発プロセス」の中で
 元請会社が派遣会社やソフトウェア会社から人を集めた場合は、
 「派遣型アウトソーシング」です。

・「小規模開発・アジャイル開発」で客先常駐してプログラミングした
 場合には、プログラマの意識としては「横受け型アウトソーシング」です。
 契約的にはおそらく、時給ベースの工数見積による請負契約、または
 実績時給清算でしょう。

・テストのアウトソーシングも「横受け型アウトソーシング」です。

これらについて、次号以降で詳しく解説します。



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 次回以降の予告
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次回以降は引き続き下記の項目について書いていきます。

・横受け型アウトソーシング

・見積もりが難しいテスト工程をアウトソーシングする方法
・ソフトウェア工場よりもテストセンターの方が実現しやすい。
・テストのアウトソーシングと漸増型開発プロセス


次号は、6月13日発行予定です。

乞うご期待!!



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また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。


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