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第93号  2005/09/19
  ▼  まえがき
  ▼  [賃金決定の仕組み] 能力と成果の関係
  ▼  [賃金決定の仕組み] 能力主義の良さ
  ▼  [賃金決定の仕組み] でも、本当に潜在能力を正しく評価できるの?
  ▼  [賃金決定の仕組み] 目からウロコ的な現実解
  ▼  [賃金決定の仕組み] 次回以降の予告


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  まえがき
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こんにちは、蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

第86号から成果主義型賃金制度をテーマとしています。
このテーマはあと数回続きそうなので、また、一旦終了しても、
断続的に続きそうなので、「永久運動の設計」シリーズから独立させて
「賃金決定の仕組み」シリーズとしました。

「賃金決定の仕組み」シリーズを最初から読みたい方は、
http://www.kei-it.com/sailing/back_salary.html を参照してください。

バックナンバーはブログでも公開しています。
ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/
コメント、トラックバック、大歓迎です。



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  [賃金決定の仕組み] 能力と成果の関係
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今週号では、能力主義と成果主義の違い、能力と成果の関係について
お話しします。
第92号での【質問4】(↓)の答えでもあります。

> 例えば、社員から下記の質問を受けたら、経営者や人事責任者は明確に
> 答えられるでしょうか?
> ・・・(中略)・・・
>
> 【質問4】
> 評価の要素となっている「能力」「成果」「やる気」「プロセス」等
> について明確に説明してください。
> 
> ( 第92号 http://www.kei-it.com/sailing/92-050912.html 参照)



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  [賃金決定の仕組み] 能力主義の良さ
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能力主義と成果主義の違いは、一般には、次のように説明されます。

・報酬を潜在能力によって決めるのが能力主義
・報酬を顕在化した成果で決めるのが成果主義


もしも本当に潜在能力を正しく評価できるなら、能力主義の方が
優れています。理由は次のとおりです。

成果は、運、タイミング、上司との相性、外部環境といった本人には
いかんともしがたいことに大きく左右されます。
たまたま運悪く実力を発揮できない人に、少しだけ評価を低くして
「もう少し頑張れメッセージ」を送ることはよいでしょう。
しかし、メッセージの限度を超えた低い評価をしてしまうと、その人は
やる気を無くし、最悪の場合、会社を辞めてしまいます。

短期的な成果ばかりが評価されると、中長期的にかけがえのない知識や
能力を保有する優秀な人材を流出させることになりかねないのです。



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  [賃金決定の仕組み] でも、本当に潜在能力を正しく評価できるの?
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先に「もしも本当に潜在能力を正しく評価できるなら、能力主義の方が
優れています」と書きました。
「もしも本当に潜在能力を正しく評価できるなら」の部分が重要です。


職能資格制度とは、「報酬を職務遂行能力によって決める制度」です。
(第88号 http://www.kei-it.com/sailing/88-050815.html 参照)
したがって、成果主義ではなく、能力主義です。

それ故、職能資格制度は、潜在能力の評価の難しさという問題を
抱え込んでいます。

潜在能力の評価は、顕在化した成果の評価と比べて、主観的で曖昧に
なりがちです。
「彼は成果はあまり出していないけど実力は付いてきたと私は思う」
という類の評価を許してしまうからです。
曖昧さを排除できないが故に、職能資格制度は本来能力主義を指向して
いるにもかかわらず、逆に年功的になりやすいのです。
(第89号「職能資格制度の昇格が年功的である理由」
http://www.kei-it.com/sailing/89-050822.html 参照)


能力評価の主観性と曖昧性を排除するために米国で開発された
コンピタンシーという手法もあります。
能力などを裏付ける客観的な行動特性に着目する手法です。
例えば売れる営業マンの行動特性を調べて、それから評価項目を作成する
手法です。

しかし、これは複雑過ぎて、中小ソフトウェア会社には向かないでしょう。



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  [賃金決定の仕組み] 目からウロコ的な現実解
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能力と成果の関係、能力評価と成果評価の方法について、蒔田照幸氏は
「デフレに克つ給料・人事」で、目からウロコ的なシンプルな主張を
展開しています。次のようなものです。


(1)賞与はプロセスと成果、定期昇給・昇格昇進は能力

まず、賞与と定期昇給や昇格昇進のときの評価対象を明確に区別します。

【賞与時における評価対象】
過去6ヶ月間の仕事のプロセスと成果。

【定期昇給における評価対象】
これから1年間仕事上で見せてくれるであろう能力。

【昇格昇進における評価対象】
1年間という短い期間ではなく、もっと長期間にわたって能力を発揮
してくれるだろうかということ。

賞与時にはプロセスと成果のみ問題とし、定期昇給と昇格昇進で初めて
能力を問題とするのです。
賞与時のプロセス評価も、顕在化している事実と結果に基づいて行います。
また、やる気もプロセスの一部として評価対象となります。


(2)成果と能力の関係

成果と能力の関係も実にシンプルです。
1年間の成績(成果+プロセス)で能力評価をするのです。

例えば、
・夏季と年末の賞与での評価がBだったら、定期昇給における能力評価はB。
・夏季と年末の賞与での評価がCだったら、定期昇給における能力評価はC。
というように。

過去1年間でBの成績(成果+プロセス)を出しているなら、将来の
1年間でもBの成績(成果+プロセス)を出すであろうと仮定し、
その仮定こそ潜在能力だと考えるのです。

では、夏季と年末で賞与の評価が違ったら、どうすればよいのでしょうか?
例えば、夏季はB、年末はAというように。
その場合は、評価者やあるいはその上司から意見を聞いて理由を見極め、
能力評価を決定すればよいのです。


これが現実解だと私は思います。



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  [賃金決定の仕組み] 次回以降の予告
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次号は次のようなテーマで書く予定です。

・年俸制とは何か?
・目標管理制度とは何か?
・責任等級制度とは何か?
・ソフトウェア会社と成果主義



次号は、9月26日発行予定です。

乞うご期待!!



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