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第95号  2005/10/03
  ▼  まえがき
  ▼  [賃金決定の仕組み] 総人件費抑制目的型の成功の条件
  ▼  [賃金決定の仕組み] 新しいビジネスモデル対応型成果主義
  ▼  [賃金決定の仕組み] 管理職ポストへの登用、降格の仕組みが中心
 ▼  [賃金決定の仕組み] 次回以降の予告


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  まえがき
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こんにちは、蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

第86号から成果主義型賃金制度をテーマとしています。
このテーマはあと数回続きそうなので、また、一旦終了しても、
断続的に続きそうなので、「永久運動の設計」シリーズから独立させて
「賃金決定の仕組み」シリーズとしました。

「賃金決定の仕組み」シリーズを最初から読みたい方は、
http://www.kei-it.com/sailing/back_salary.html を参照してください。

バックナンバーはブログでも公開しています。
ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/



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  [賃金決定の仕組み] 総人件費抑制目的型の成功の条件
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城繁幸氏は「日本型『成果主義』の可能性」(東洋経済新報社)で
成果主義を導入する目的は、大きく分けると次の二つのパターンになる
と指摘しています。

(1)総人件費を抑制し、優秀な人材にのみ報いるシステムをつくる。
(2)優秀な人材をどんどん抜擢し、新しいビジネスモデルに対応する。


成果主義を導入する目的としてよく言われることは(1)の方です。
例えば次のように。

 年功制や職能資格制度は給料が基本的に右肩上がりになる。これらは、
 多くの日本企業が右肩上がりに成長していた時代にはうまく機能したが、
 バブル崩壊以降、企業業績が低迷する中では維持できなくなってきた。
 一方、企業としての競争力強化は以前にも増して強く求められている。
 そのため、総人件費の抑制を図り、且つ、成果を出した人にはより多く、
 出していない人にはより少なく配分すべきだ。

このタイプの成果主義については、多くの論者が「賃下げの口実
として成果主義を悪用している」と批判しています。

しかし、城繁幸氏は会社の状況によっては、総人件費抑制目的の
成果主義導入も必要な場合があり、また、それが成功する場合もあると
言っています。そして、下記が成功の条件です。

> 会社の財務状況から社長の給与まで、一定の情報は社員に公開すべきだ。
> ・・・(中略)・・・
> 「会社の置かれている状況から考えて、賃金体系の抜本的な見直しは
> 避けられない」ということを、従業員にも納得してもらうことが、
> 制度見直しの第一ステップだ。
> そのうえで世代間のギャップが発生しないよう、すでに高い賃金を
> 得ている世代の基本給の見直しも必須だ。
> 
>        (城繁幸著「日本型『成果主義』の可能性」より)



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  [賃金決定の仕組み] 新しいビジネスモデル対応型成果主義
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一方、(2)の「優秀な人材をどんどん抜擢し、新しいビジネスモデルに
対応する」は、正しく慶が目指すべき方向です。

第85号「M&Aが大好きな会社」で、ポスト産業資本主義の利益の源泉
である「違い」の耐用年数が短いが故に金持ち企業はM&Aに狂奔する
という話を書きました。
( http://www.kei-it.com/sailing/85-050725.html 参照)

お金の無い中小企業は、金持ち会社がM&Aでやることを社内で
やらなければなりません。
金持ち会社が有望なシーズを持っている小さな会社を札束で買い漁る
のに対し、お金の無い中小企業は社内で次々とシーズを生み出さな
ければならないのです。

そして、第85号では書きませんでしたが、M&Aはそれほどいいもの
ではありません。M&Aに成功した後のその事業の成功確率は決して
高いものではありません。
もしも可能なら社内で生み出す方がよいのです。

慶はこれまでに多くのビジネスを立ち上げて来ました。
・自社製Javaフレームワークによる請負開発事業
 ( http://www.kei-ha.co.jp )
・ITサービス事業 ( http://www.kei-it.com )
・人材紹介事業 ( http://www.k-bank.jp )
・携帯&PC ECサイト事業 ( http://kcode.jp/kcode/index.html )
などです。

どれも新しいビジネスモデルではなく、既存のビジネスモデルです。
しかし、どれも他社とは一味違っていることは確かです。

今後も様々な新しいビジネスモデルを立ち上げていかなければなりません。
なぜなら、岩井克人氏が言うように、ポスト産業資本主義の時代とは、
まさに意識的な違いからしか利益が生まれない時代であるからです。

それを支える仕組みとして、新しいビジネスモデル対応型の成果主義が
あります。



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  [賃金決定の仕組み] 管理職ポストへの登用、降格の仕組みが中心
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新しいビジネスモデル対応型の成果主義について、城繁幸氏は次の
ように説明しています。

> 「新しいビジネスモデル対応型の成果主義」を目指す場合、極端な話、
> 一般従業員は目標管理などやる必要はまったくない(従来の能力給
> ベースの相対評価で十分だ)。
> もともと、目標管理制度は「十分な裁量を持ったポストにある人間向き」
> の評価制度だ。
> だからそういったポストにある人間には、常に成果を求め、地位に
> 甘んじることがないシステムをつくることが最大の課題になる。
> その場合、管理職ポストへの登用、降格の仕組みが中心であって、
> けっして一般従業員の成果だの目標だのというテーマではないはずだ。
> 
>        (城繁幸著「日本型『成果主義』の可能性」より)

私も全く同感です。

付け加えるなら、「十分な裁量を持ったポストにある人間」とは、
ビジネスモデルの責任者であり、大企業では課長クラスでしょうが、
中小企業では事業部長、部長クラスです。

また、ここで求められる成果は売上・利益の大小だけではありません。
ビジネスモデルの社会的な価値や技術的な価値も含まれています。

そして、管理職ポストへの登用の仕組みは、正社員だけでなく、
契約社員、個人事業主にも開かれているべきです。
もしもその人にアイデアと意欲があるなら・・・。



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  [賃金決定の仕組み] 次回以降の予告
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次号以降は次のようなテーマで書く予定です。

・成果主義のまとめ
・社内起業

あるいは、久々に技術的なテーマを取り上げるかもしれません。
例えば、

・オープンソース


次号は、10月10日発行予定です。

乞うご期待!!



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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
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ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は平成17年9月24日現在、423名です。


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