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_/_/_/_/_/_/_/  ソフトウェア業界 新航海術  _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第155号  2006/11/27
  ▼  まえがき
  ▼  [慶2.0] (1)販管費と売上原価
  ▼  [慶2.0] (2)固定費と変動費
  ▼  [慶2.0] (3)間接費と直接費
  ▼  [慶2.0] (4)本社費と事業部経費
  ▼  [慶2.0] (5)ソフトウェア会社での本社費の配賦
  ▼  次回以降の予告


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  まえがき
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今週号も、「慶2.0 本当の大変化はこれから始まる」シリーズです。

このシリーズでは、次の10年で慶(及び類似した中小ソフトウェア会社)
が目指すべき方向性について、組織、営業、企画、労務など多方面から
考察します。
題は「慶2.0」ですが、多くの中小ソフトウェア会社にとっても共通
の課題を扱います。


「慶2.0」シリーズを最初から読みたい方は、
「バックナンバー 慶2.0」
( http://www.kei-it.com/sailing/back_kei2.html )を参照して
ください。

または、ブログ( http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/ )の
「カテゴリー 慶2.0」(↓)を参照してください。
http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/cat6545629/index.html



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  [慶2.0] (1)販管費と売上原価
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今週号では、本社費の配賦についてお話しします。

前提として、「販管費」「固定費」「間接費」「本社費」という
それぞれ微妙に異なる概念を整理しておきましょう。


まず、「販管費」について簡単に解説します。

「販管費」とは、「販売費及び一般管理費」の略称です。

「販売費」には、広告宣伝費、ノベルティ費用(販売促進費)、
販売手数料、営業マンの人件費などが含まれます。
「一般管理費」には、事務管理部門にかかる費用、経営全般に関わる
経費が含まれます。

「販管費」に対立する概念が「売上原価」です。
卸・小売業では商品の仕入原価、製造業では製造原価、サービス業
ではサービスの運営・提供に関わる人員の人件費や経費などが売上
原価です。


どの勘定科目が販管費でどの勘定科目が売上原価なのかは、公的に
決まっています。(法律で決まっているのか行政で決まっているのかは
知りませんが・・・。)

したがって、例えば、「広告宣伝費は販管費か原価か」という議論は
成り立ちません。
「広告宣伝費は販管費だ」と決められているからです。



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  [慶2.0] (2)固定費と変動費
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次に、固定費と変動費について説明します。

売上数量の変動によって変化する費用を変動費と呼び、売上数量の
変動に関係ない費用を固定費と呼びます。
これは損益分岐点分析を目的とした分類です。

固定費と変動費の区分は、販管費と売上原価の区分と違い、公的に
決められているものではありません。

会社が個々の業務の性格を分析して独自に決めます。

とは言っても、機械・建物の減価償却費、動産・不動産の賃貸料、
借入資本の利子などは、普通は固定費です。
しかし、広告宣伝費は、業務によって、固定費的であったり、
変動費的であったりします。

自社の業務で広告宣伝費が売上に比例して増加する傾向があるなら
変動費として扱えばよいし、売上高の大小に関わらず一定額が必要な
費用なら固定費として扱えばよいのです。



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  [慶2.0] (3)間接費と直接費
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次に、間接費と直接費について説明します。

直接費か間接費かという分類は、特定の事業や製品・サービスと費用
との関係が明確かどうかに着目した分類です。
事業や製品・サービスごとの業績や原価・損益を把握することを目的
としています。

関係が直接的なら直接費として原価に賦課(ふか)され、関係が間接的
なら間接費として原価に配賦(はいふ)されます。

そして、どのレベルで原価計算するかによって、同じ費用が直接費に
なったり、間接費になったりします。
大きな単位では直接費だったものが、小さな単位では間接費に変わる
ことが多いです。

まず、最も小さな単位で見てみましょう。

工場で発生する費用では、主原料の材料費や製造ラインで作業する
従業員の人件費が直接費、それ以外は全て間接費です。
販管費は全て間接費です。
材料費でも、補助材料費、工具消耗品費は間接費となります。

ソフトウェア会社で言えば、技術者の人件費が直接費、それ以外は
全て間接費となります。


次に、最も大きな単位で見てみましょう。
事業部ごとの原価計算という視点です。

この場合、本社の管理・企画部門の費用(いわゆる本社費)のみが
間接費となり、各事業部の費用は全て直接費になります。
各事業部の技術者の人件費はもちろんですが、その事業部の営業経費
も直接費となります。
その営業経費の中には、営業マンの人件費、販売促進費、広告宣伝費
などが含まれます。

これらの事業部の営業経費は、会社全体で見たら直接費ですが、
もう少し小さい単位、つまり各事業部内でプロジェクト単位やセクション
単位で原価計算する場合は、間接費になります。



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  [慶2.0] (4)本社費と事業部経費
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事業部単位での直接費の賦課と間接費の配賦は、次のように行われます。

販管費を本社費と事業部経費に分割します。

本社費とは、管理部門の人件費・共通的な経費です。
これは会社全体にとっての間接費であり、事業部に配賦されます。

事業部経費とは、「会社全体にとっては直接費である販管費」です。

不動産の賃貸料を例にすると、実際にある部門が占有している面積分が
事業部経費として賦課され、管理部門が占有している部分と会議室
などの共通部分の面積分が、本社費として配賦されます。
事業部の側からすると、不動産の賃貸料は二種類あるということに
なります。

大手製造業では、非常に複雑な原価計算をして、直接費の賦課と
間接費の配賦を行っています。



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  [慶2.0] (5)ソフトウェア会社での本社費の配賦
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しかし、ソフトウェア会社の多くは、不動産の賃貸料を面積割りして
賦課した後は、残りの販管費は全て本社費として、単純に正社員の
頭割りで配賦しています。
せいぜい役職によって、配賦金額に差を付ける程度です。

部門があると言っても、部門によって事業の性格が異なるわけではなく、
やっていることは全社的に「正社員中心の請負開発」である場合が
多いので、それで事足りるのでしょう。
要するに、人月で売上を上げる仕事をしているから、本社費の配賦も
頭割りが自然なのです。

しかし、慶のように、事業部単位で性格が大きく異なる場合、また、
パッケージ開発や自社サービスの開発・提供をしている場合は、
本社費の配賦問題は非常に難しい問題となります。

誰もが納得できる配賦基準を作ることは不可能と言ってもよい
でしょう。

しかし、少なくとも配賦基準の明確化とその開示・説明は早急に
実施するつもりです。



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  次回以降の予告
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次号は、12月4日発行予定です。

「新営業マニュアルシリーズ」の予定です。


乞うご期待!!



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  本メルマガについて
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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
本メルマガのコンセプトは「読みものとしても面白い慶の事業計画」であり、
目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

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彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は2006年11月19日現在、559名です。


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