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第164号  2007/1/29
  ▼  まえがき:「会社の心臓」シリーズ開始
  ▼  [会社の心臓] (1)「本社費」は会計用語ではなく収支管理用語
  ▼  [会社の心臓] (2)ソフトウェア会社の収支管理の基本形
  ▼  [会社の心臓] (3)分類しにくい費用
  ▼  [会社の心臓] (4)販管費と本社費の関係
  ▼  [会社の心臓] (5)変動費は実績数字で収支管理
  ▼  [会社の心臓] (6)本社費は本当は変動するが固定として扱う
  ▼  あとがき
  ▼  次回以降の予告


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  まえがき:「会社の心臓」シリーズ開始
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小冊子「会計は会社の心臓」を発売開始しました。

 特別号(2007/1/23):会計は会社の心臓
 [B] http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2007/01/post_822e.html
 [H] http://www.kei-it.com/sailing/00-070123.html


今後は「会計は会社の心臓」で書き残したこと、会計について新しく
気づいたことを「会社の心臓」シリーズとして書いていきます。



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  [会社の心臓] (1)「本社費」は会計用語ではなく収支管理用語
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第155号「本社費の配賦」は、読者はあまり理解できなかったと思います。

何しろ、メルマガ1回で、「販管費と売上原価」「固定費と変動費」
「間接費と直接費」「本社費と事業部経費」を説明してしまったの
ですから。

 第155号「本社費の配賦」:
 [B] http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/11/post_bac0.html
 [H] http://www.kei-it.com/sailing/155-061127.html


今週号では、「本社費」についてもう少し詳しく説明します。

「本社費」は正式な会計用語でも税金用語でもありません。
収支管理用語です。

「販管費」や「固定費」という概念より「間接費」という概念に
親しい概念です。


第155号では、本社費を次のように説明しました。

> 本社費とは、管理部門の人件費・共通的な経費です。
> これは会社全体にとっての間接費であり、事業部に配賦されます。
> 
> 事業部経費とは、「会社全体にとっては直接費である販管費」です。
> 
> 不動産の賃貸料を例にすると、実際にある部門が占有している面積分が
> 事業部経費として賦課され、管理部門が占有している部分と会議室
> などの共通部分の面積分が、本社費として配賦されます。
> 事業部の側からすると、不動産の賃貸料は二種類あるということに
> なります。


これは、ほぼ正しい説明なのですが、一点だけ間違いがあります。
間違えている部分は、本号の後半で明らかになります。



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  [会社の心臓] (2)ソフトウェア会社の収支管理の基本形
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ある一定規模(部門が複数ある規模)のソフトウェア請負開発会社の
収支管理の基本形を、「図:ソフトウェア会社の収支管理の基本形」
( http://www.kei-it.com/sailing/2007/164-1.htm )に示します。

これは、20年以上前から同じですし、ソフトウェア請負開発という
業態が変わらない限り、変わらないでしょう。

売上から、技術者人件費、外注費、時間外手当、部門間接費、
部門経費、本社費を引いて毎月の損益を把握します。


【技術者人件費】
正社員、契約社員の給料、法定福利費(会社負担分)、旅費交通費
などです。

【外注費】
協力会社、個人事業主への支払いです。

【時間外手当】
正社員、契約社員の時間外手当です。

【部門間接費】
その部門の担当役員や営業の人件費です。
上述の技術者人件費が自分で直接稼ぐ人たちの人件費なのに対し、
直接的には売上を上げない人たちの人件費です。

【部門経費】
特定の部門が使う人件費以外の経費です。
事務所家賃(部門スペース分)、消耗品(PC代、書籍代など)、
通信費(部門特有のレンタルサーバ、営業が持つ携帯など)、
会議費などがあります。
部門特有の機器の減価償却費もここに入ります。

【本社費】
全社共通の間接費です。
社長や事務職の人件費、事務所家賃(共有スペース分)、会社全体で
使うレンタル機器の減価償却費などです。

本社費をこれらの項目に限定すれば、最終的に求められる損益は、
営業損益になりますし、本社費に営業外費用(支払利息など)も
含めると最終的に求められる損益は、経常損益になります。



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  [会社の心臓] (3)分類しにくい費用
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中には分類しにくい費用もあります。例えば、次のようなものです。

【部門間接費か本社費か】

複数の部門を担当している役員や営業もいるはずです。
その人件費は本社費に組み込むべきでしょうか?
それとも部門間接費として按分すべきでしょうか?

その人が本当に全社的に動いているなら本社費に組み込み、限られた
部門のために動いているなら、「A部門○%、B部門○%」という
ように部門間接費として按分すればよいでしょう。


【部門経費か本社費か】

通信費(電話代、プロバイダー料金)は本社費に組み込むべきで
しょうか?それとも部門経費として按分すべきでしょうか?

実際には、例えば、「通信費は社員の人数割り」という按分の仕方を
すれば、どちらも結果的には同じになります。



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  [会社の心臓] (4)販管費と本社費の関係
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販管費と本社費の関係は、「図:収支管理の基本形と販管費との関係」
http://www.kei-it.com/sailing/2007/164-2.htm のようになります。

図を見たら分かるとおり、部門経費の部分が微妙です。
部門経費には、会計上は売上原価に分類されるものと販管費に分類
されるものとが含まれています。

先に「第155号の説明は正確でなかった」と述べた部分はここです。

第155号では「本社費とは、会社全体にとっては間接費である販管費」
という説明をしましたが、よく考えたところ、「直接費である販管費」
もありことが分かりました。
つまり、収支管理上は直接費だから部門経費なのに、会計上は販管費
にしかなり得ない科目があります。
(「図:収支管理の基本形と販管費との関係」で網掛けしている部分)


例えば、広告宣伝費です。
広告宣伝費は、収支管理上は部門経費になり得ます。

例:ある特定の部門が特定の人材を採用しようとした場合
  ある商品を販売しようとした場合


しかし、会計上は売上原価になり得ない、というのが私の理解です。


> たとえば広告宣伝費なんか業種によっては変動費の代表だけど、
> 会計上は販売費及び管理費ですからね。
>
>  (小堺桂悦郎著「なぜ、社長のベンツは4ドアなのか」)




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  [会社の心臓] (5)変動費は実績数字で収支管理
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技術者人件費、外注費、時間外手当、部門間接費、部門経費は
全て変動費です。

部門間接費の担当役員の人件費は変動しませんが、営業の人件費は
毎月変動します。また、営業マンの人数が変われば変動します。

これらの費用は、ある一定規模以上のソフトウェア会社は、期首に
予算を組み、毎月予実管理し、実績数字で収支管理をしています。
(ITベンチャー系や零細ソフトウェア会社はやっていないかもしれま
せんが・・・。)


ここで質問です。

【質問1】
本社費は固定費でしょうか?それとも変動費でしょうか?

【質問2】
もしも変動費なら、本社費は予実管理すべきなのでしょうか?

【質問3】
もしも予実管理するなら、その実績で収支管理すべきなのでしょうか?
つまり、部門に配賦する本社費を毎月変動させるべきでしょうか?



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  [会社の心臓] (6)本社費は本当は変動するが固定として扱う
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答えは次のとおりです。

【回答1】
本社費は変動します。
(「固定費」「変動費」という概念は相対的な概念なので、ここでは
「変動費だ」とまでは言いません。)

例えば、例年はAという求人サイトのみで十分に人が採れたのに、
今年は採れなかったから求人イベントに参加したり、別の求人サイト
と契約したため、広告宣伝費が増えたということはあり得るでしょう。

あるいは、事務部門が忙しくなり、残業代が増えたということもあり
得るでしょうし、アルバイトを雇うこともあるかもしれません。

他にも、期首に予測できなかった出費というものは、必ずあります。


【回答2】
実際には毎月変動するし、本社部門の中では予実管理をすべきです。

【回答3】
各部門に配賦する本社費は変えません。
しかし、「回答1」のとおり、実際には変動するので、それを吸収
するための予備費を本社費の中に組み込んでおかなければなりません。




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  次回以降の予告
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新営業マニュアルシリーズの「新しいリレーションシップ販売モデル
 ( new relationship selling model )」を書こうかなと思っています。


次号は、2月5日発行予定です。

乞うご期待!!



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  本メルマガについて
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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
創刊号 http://www.kei-it.com/sailing/01-031208.html で述べたとおり、
本メルマガのコンセプトは「読みものとしても面白い慶の事業計画」であり、
目的は「事業計画の背後にある基本的な考え方を語ること」です。

したがって、第一の読者としては、慶の社員(正社員・契約社員)及び
慶と契約している個人事業主を想定しています。
彼らには慶社内のメーリングリストで配信しています。

また、多くのソフトウェア会社・技術者が直面している問題を扱っているので、
ソフトウェア会社の経営者、管理者、技術者にとっても参考になると思い、
第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
「まぐまぐ!」での読者数は2007年1月21日現在、574名です。


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