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第134号 2006/7/3
▼ まえがき
▼ [ゴーイング・コンサーン] 日本技術貿易株式会社
▼ [ゴーイング・コンサーン] 本業に密接にかかわる副業を行う
▼ [ゴーイング・コンサーン] 貝印もカミソリの売上高は3分の1
▼ [ゴーイング・コンサーン] 創業以来この道一筋の会社
▼ [ゴーイング・コンサーン] 任天堂のゴーイング・コンサーン
▼ [ゴーイング・コンサーン] 主力商品だけでなく、人も交代する
▼ 次回以降の予告


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まえがき
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蒲生嘉達(がもう よしさと)です。

先週号からゴーイング・コンサーン(継続企業の前提)について
解説しています。

現在は「永久運動の設計」シリーズに分類しますが、別シリーズ
として立ち上げるかもしれません。

「永久運動の設計」シリーズを最初から読みたい方は、
http://www.kei-it.com/sailing/back_forever.html を参照して
ください。

バックナンバーはブログでも公開しています。
ブログ: http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/



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[ゴーイング・コンサーン] 日本技術貿易株式会社
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第133号では「主力商品は交代し得る」という話をしました。
今週号では、それをもう少し具体的にお話しましょう。

先日、日本技術貿易株式会社( http://www.ngb.co.jp/ )を訪問しました。

1959年設立。外国特許明細書の輸入販売からスタートした会社です。

市場調査や基礎研究の結果として外国特許明細書の分野に進出した
というよりも、特許などとは無縁の創業者がたまたま外国特許明細書
という商材に出会い、「これはいける!」と感じたことがきっかけ
だったようです。

その後、次のように知的所有権に関連する様々な分野に進出し、
成功しています。


1961年 05月 特許情報会社 英国ダウエント社と総代理店契約締結
1963年 01月 翻訳サービス開始
1964年 01月 特許・商標の調査サービス開始
1965年 04月 特許・意匠・商標の外国出願仲介サービス開始
1973年 12月 英国CPA社と年金管理業務提携
1981年 10月 翻訳センター設立
1994年 11月 翻訳センターが日本ビジネス翻訳株式会社として独立
1999年 10月 「ドケッティング室(文書管理部門)」新設
2001年 04月 知的財産に特化したシンクタンク「IP総研」設立
2002年 11月 「模倣品情報センター」開設


現在では、全体の売上の中で外国特許明細書の売上が占める割合は
微々たるもので、特許・意匠・商標の外国出願仲介サービス、
調査サービス、翻訳サービスが主力業務となっています。



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[ゴーイング・コンサーン] 本業に密接にかかわる副業を行う
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山田慎哉氏は「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」の中で、料理・
ワイン教室も行っているフランス料理店を例に挙げて、「本業に密接に
かかわる副業を行うこと」の重要性を次のように説いています。

> 何も本業だけで儲ける必要はなく、副業など他のところでちゃんと
> 利益を上げることができれば商売はなりたちますよということだ。

> 本業と副業とはバラバラになっていてはいけない、お互いをつなげて
> 考えろということだ。

> たとえば、鉄道会社はむかしからその沿線に住宅地を作ったり、
> 遊園地を作ったりして、自分の鉄道の利用者を増やそうとしてるが、
> これはまさに連結経営の考え方だといえる。

> 企業は、「自社にとって相乗効果の高い事業はないか?」
> 「自社の技術を生かせる新規事業はないか?」ということを常に
> 考えているのである。


日本技術貿易株式会社は連結経営の好例でしょう。



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[ゴーイング・コンサーン] 貝印もカミソリの売上高は3分の1
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連結経営の例として、カミソリで有名な貝印株式会社(創業 明治41年)
も挙げられます。

実は、「創業以来この道一筋」の例として挙げようと思い、
ホームページ( http://www.kai-group.com/index.shtml )を
見たのですが、そこには次のように書かれていました。

> カミソリの分野の売上高はすでに全体の3分の1で、この他に、
> 家庭用品や美粧用品の分野など新たな事業の柱がいくつも育って
> おり、総合生活産業へとKAIは変貌しています。


貝印というカミソリで築き上げたブランドと製造ノウハウを基に、
本業に密接にかかわる副業を積極的に行っているようです。



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[ゴーイング・コンサーン] 創業以来この道一筋の会社
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それでは、「創業以来数十年間この道一筋」という会社はないの
でしょうか?

そのような会社の例として、株式会社メリーチョコレートカムパニー
( http://www.mary.co.jp/ )が挙げられます。

メリーチョコレートはバレンタインデーのチョコの定番の一つなので
ご存知の方も多いと思います。

昭和25年創業以来、56年間、高級チョコレートを始めとするギフト菓子
の製造・販売一筋の会社です。

製造ノウハウの蓄積とブランドの構築が圧倒的な役割を演じる業界では、
「創業以来この道一筋」の企業が出やすいのでしょう。

グッチ、シャネル、ルイ・ヴィトンなどの高級ブランド会社も同類
なのかもしれません。
(これらの会社についてはまだ詳しく調べていませんが・・・。)



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[ゴーイング・コンサーン] 任天堂のゴーイング・コンサーン
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逆に、主力商品を極端に変えた例として、任天堂が挙げられます。

任天堂の主力商品は花札から家庭用ゲーム機に変わりました。
この変化は、「本業に密接にかかわる副業」というレベルでは
ありません。
しかも、その過程は次のように苦難に満ちたものでした。

> 山内任天堂は、決してヒットばかりしてきたのではない。
> むしろ失敗の方が多い。
> 「任天堂五ヶ年計画」は、トランプの売れ行きが止まり中途で捻挫した。
> ノウハウ無しの「インスタントライス」は惨敗、横井の玩具がヒット
> してもブームは急速に萎む。「光線銃カスタム」は、値段が高すぎて
> 売れず、「レーザークレー射撃システム」はオイルショックで夢と
> 散った。

( 「山内社長の信念」http://www.geocities.co.jp/Playtown/4007/phy40c2.html より)


既存のノウハウやブランドをベースにして事業展開している貝印や
メリーチョコレートとは対極にある、毎回全取替えのような生き方です。

娯楽業界ではブランドなど意味がありません。
製造ノウハウもあてになりません。
面白ければ、楽しければ、勝ちなのです。
本当に価値を生み出せるのはアイデアだけです。

そのような世界でゴーイング・コンサーン(企業継続)していくため
には、山内元社長のような信念が必要だったのでしょう。

> 社是やら社訓といったものは邪魔になる。

> 第一、"一寸先は闇"のこの業界(娯楽)で、こうしなきゃならんなど
> という固定的な考え方は、なんらプラスにならない。それどころか、
> 自ら負けを招くようなものです。

( 「山内社長の信念」http://www.geocities.co.jp/Playtown/4007/phy40c2.html より)



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[ゴーイング・コンサーン] 主力商品だけでなく、人も交代する
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第133号、第134号では「主力商品は交代し得る」という話をしましたが、
人も交代します。
むしろこちらの方が、より確実に・・・。

次号はこの方向で話を進めます。



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次回以降の予告
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次号以降では次のようなテーマを取りげていきます。

技術系:
・グーグルの衝撃
  本を読むこと、ネットで読むこと
  ITバブルは詐欺だった
  ポスト産業資本主義化はIT革命によって引き起こされたのではない。

・メーカからの請負、エンドユーザからの請負
 (品質管理、検収、瑕疵担保責任の違い)
・オブジェクト指向再論
・PMBOK
・SEO対策

外国系:
・中国は脅威か?

財務系
・資産と費用

経営系:
・壊れ窓の理論

法務系:
・コンプライアンス
・執行役の裁量の範囲と取締役会の決定権

労務系:
・雇用契約、裁量労働制、個人事業主
・景気回復、新卒の採用難、2007年問題

営業系:
・売れる営業マン


次号は、7月10日発行予定です。

乞うご期待!!



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本メルマガは2003年12月8日に創刊されました。
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第33号(2004年7月19日号)からは「まぐまぐ!」で一般の方々にも公開する
ことにしました。
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