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第203号  2008/4/28 [ソフト業と建設業]

人月見積もり問題を会計的な視点から

 

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_/_/_/_/_/_/_/ ソフトウェア業界 新航海術 _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第203号 2008/3/24 『人月見積もりを会計的な視点から』
▼ まえがき:「ソフト会社の心臓」プレスリリース
▼ [ソフト業と建設業] (1)人月は関係ないよね(?)
▼ [ソフト業と建設業] (2)建設業とソフトウェア業の原価構成比較
▼ [ソフト業と建設業] (3)ソフトウェア業と建設業の原価構成の違い
▼ [ソフト業と建設業] (4)単純には人月見積もりを否定できない
▼ [ソフト業と建設業] (5)会計的視点から見た人月見積もりの問題
▼ [ソフト業と建設業] (6)現時点での私の結論
▼ 次回以降の予告

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まえがき:「ソフト会社の心臓ブログ」開設
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蒲生嘉達(がもうよしさと)です。

遅ればせながら、4月11日に「ソフト会社の心臓」をプレスリリース
しました。

10数個のサイトに掲載されています。

例:KEIEIコンビニ
http://www.keiei.ne.jp/dir/press/column/10016925.html?c=cl&l=sv_0

(その他の例は http://www.gamou.jp/heart/2008/04/post_7e3c.html 参照)


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[ソフト業と建設業] (1)人月は関係ないよね(?)
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> 「人月」という奇妙な単位は、いまだにソフトウェア開発で標準的に
> 用いられ、プロジェクトの計画やその理解を困難にしている。
> 見積もりや進捗管理の単位としては適切でないことが昔から知られて
> いるのに、この単語でしか仕事を語ろうとしない。
>               ・・・(中略)・・・
> 本来は人月じゃなくて「これだけの仕事をいくらでやれ」って話でしょ。
> 人月は関係ないよね。
>
> (久手堅憲之著「日本のソフトウェア産業がいつまでもダメな理由」より)

今週号ではこの人月見積もり問題を会計的な視点から眺めてみます。


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[ソフト業と建設業] (2)建設業とソフトウェア業の原価構成比較
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ソフトウェア業の原価構成は建設業に似ていると言われます。

【建設業とソフトウェア業の原価構成比較】

ソフトウェア業
 外注費:49.2%
 労務費:34%
 材料費: 3.2%
 経費: 13.6%

建設業
 外注費:69.8%
 労務費: 5.6%
 材料費:11.3%
 経費: 13.3%
 
( 千葉商科大学「建設外注費の本質とその真実性」より
http://ci.nii.ac.jp/naid/110001053850/ )


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[ソフト業と建設業] (3)ソフトウェア業と建設業の原価構成の違い
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確かに外注費の比率の高さは似ています。

しかし、外注費の中身に着目すると少し違って見えてきます。

ソフトウェア業の場合、外注費の中身はほとんどが下請けの労務費と
外注費(そして、この外注費の中身は孫請けの労務費)です。
つまり、元請と下請けを連結して見るとほとんどが労務費に還元
されます。

一方、建設業の外注費の中身には下請けの材料費も経費(工作機械など)
も含まれます。

つまり、建設業の場合、元請と下請けを連結して見ると、材料費と
経費の割合は上記数字以上に大きいのです。
正確な数字は分かりませんが、材料費、労務費、経費はそれぞれ30%
前後ではないでしょうか?


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[ソフト業と建設業] (4)単純には人月見積もりを否定できない
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ソフトウェア業の人月見積もりを批判し、建設業の細かい積算見積
もりを賞賛する人もいます。

 例:日経コンピュータ2006年1月9日号
    特集 甦れ!日本のIT
     プラント・エンジニアリングに習う
      業界全体で積算・見積手法の確立を

しかし、建設業の場合は原価に占める材料費と経費の割合が大きく、
それが細かい積算見積もりを可能にしているという面を見逃しては
ならないでしょう。

ちなみに、製造業の場合は建設業以上に材料費と経費の割合が増えます。
例えば、無人化工場では労務費は限りなく0に近づきます。

 関連記事:第192号(3)製造業の在庫とソフトウェア業の仕掛品
 [B} http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2007/08/post_9de7.html
 [H] http://www.kei-it.com/sailing/192-070827.html


ソフトウェア業の人月見積もりについて議論する場合、このような
原価構造の違いを理解しておく必要があります。

価格は生産者側の原価で決まるのではなく消費者側の予算や市場で
決まるという主張もあり得ますが、いずれにしても、価格が原価と
無縁であるということはあり得ません。

冒頭の「日本のソフトウェア産業がいつまでもダメな理由」からの
引用文のように単純に人月見積もりを否定することはできません。


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[ソフト業と建設業] (5)会計的視点から見た人月見積もりの問題
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但し、私は「ソフトウェア業は人月見積もりでよい」と言っている
わけではありません。

人月見積もりの問題点を会計的な視点から語ると次のようになります。
やはり「建設外注費の本質とその真実性」からの引用です。

> ・原材料の投入量(原価)とソフトウェア製品の産出量との相関関係
>  が工業生産物ほど明確ではない
> ・ソフトウェア製品、仕掛品は不可視であり、ソフトウェア製品を
>  原価との関係で管理することが困難である


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[ソフト業と建設業] (6)現時点での私の結論
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現時点での私の結論は次のとおりです。

・受託開発で人月見積もりをベースにするのはやむを得ない。

・一方で、人月とは直接関係のない付加価値の高いサービスを生み
 出していきたい。

 関連記事:第123号「請負開発を人月で見積もる理由」
 [B] http://kei-it.tea-nifty.com/sailing/2006/04/post_3018.html
 [H] http://www.kei-it.com/sailing/123-060417.html


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次回以降の予告
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次回発行予定は、5月中旬です。

乞うご期待!!


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