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第222号  2009/8/23 [慶2.0]

「求められる以上にやる」という姿勢

 

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_/_/_/_/_/_/_/  ソフトウェア業界 新航海術  _/_/_/_/_/_/_/_/_/
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第222号  2009/8/23 『「求められる以上にやる」という姿勢』
  ▼  まえがき
  ▼  [慶2.0] (1)V字型の回復ではなく、L字型の回復
  ▼  [慶2.0] (2)曇、ところにより小雨:全面的な雨でない理由
  ▼  [慶2.0] (3)「晴れ」でない理由
  ▼  [慶2.0] (4)L字型回復期も、技術者余り傾向が続く
  ▼  [慶2.0] (5)他者よりも優れている「何か」が必要
  ▼  [慶2.0] (6)ハッスルプレイ:求められる以上にやるという姿勢
  ▼  [慶2.0] (7)近い将来晴れるであろう分野・技術に挑戦する


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  まえがき
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蒲生嘉達(がもうよしさと)です。

> 「不況ですべての設備投資が凍りついた」と、大手メディアが喧伝
> するなか、それでもアクティブに動く勢力は依然として存在する。
>
>(週間ダイヤモンド8月1日号「エレキから素材に主役交代 新エネ巨額
> 設備投資の実態」より)

「それでもアクティブに動く勢力」でありたいものです。



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[慶2.0] (1)V字型の回復ではなく、L字型の回復
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世界経済も、日本経済も底打ちしたと言われています。

例えば、「政府、景気底打ちを宣言 2カ月連続で上方修正」。
http://www.asahi.com/business/update/0617/TKY200906170251.html

しかし、この記事にも書かれているとおり、世界的な景気底打ちは、
各国の景気刺激策によるものであり、「自律的な回復につながらなければ、
再び景気悪化の可能性もある」と言われています。

少なくとも「今回の景気回復は急速なV字型ではなく、ゆるやかな
L字型の回復になる」と考えるのが妥当でしょう。



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[慶2.0] (2)曇、ところにより小雨:全面的な雨でない理由
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今後数年間のソフトウェア業界の景気を天気でたとえると、
「曇、ところにより小雨」といったところでしょうか。

全面的な「雨」でない理由は、次のとおりです。


日本のソフトウェア会社の仕事のほとんどは、(社内持ち帰りだろうと
客先常駐だろうと)インハウス開発(カスタム開発)、または、
その周辺業務です。

そして、インハウス開発は広義の「メンテナンス」であり、
「メンテナンス」はパッケージが普及しても、WEBサービスが
発達しても、SaaSが登場しても、そして、不況になっても、
そう簡単には無くなりません。

ある一定量は存在するのです。


 関連記事:第109号「パッケージが請負を駆逐することはない」
 [Blog版] http://www.gamou.jp/sailing/2005/12/post_5362.html
 [HP版]  http://www.kei-it.com/sailing/109-060109.html



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[慶2.0] (3)「晴れ」でない理由
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しかし、「晴れ」とも言えません。

> アプリケーションのカスタム開発が単純に減るということは
> ないでしょう。顧客の環境に密に依存する開発だからです。
>
> 但し、「単純に減る」ことはないのであり、下記の意味で減る可能性は
> 大いにあります。
>
> (A)オフショアの進展
> (B)ユーザ企業間競争の激化によるコストの削減
> (C)ソフトウェア会社間の競争激化による価格破壊
>
> (第148号「ウェブサービス時代のシステム開発請負会社」より)


長期的傾向として、上記(A)(B)(C)圧力が存在し、不況とその後の
L字型回復が(A)(B)(C)圧力を強めていきます。

それ故に、「晴れ」ではなく、「曇、ところにより小雨」なのです。


 関連記事:第148号「ウェブサービス時代のシステム開発請負会社」
 [Blog版] http://www.gamou.jp/sailing/2006/10/post_8d27.html
 [HP版]  http://www.kei-it.com/sailing/148-061009.html



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[慶2.0] (4)L字型回復期も、技術者余り傾向が続く
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2007年前後は、輸出主導の景気回復、相次ぐ銀行統合によって、
技術者不足(逆に言えば、仕事余り)の時代でした。
上記(A)(B)(C)圧力の存在によって単価は抑えられましたが、
ほどほどにやっている技術者にも仕事が与えられました。

一方、2008年以降は、技術者余り(仕事不足)の時代です。

 [新航海術の補足]ソフト業界は3月を境に技術者余りに転じた
 http://www.gamou.jp/comment/2008/08/3_fb49.html
 (タイトル中の「3月」は2008年3月です。)


L字型回復期も、技術者余り傾向が続きます。

 [新航海術の補足]中小ソフト会社の冬の時代はしばらく続く
 http://www.gamou.jp/comment/2009/06/post-7525.html


技術者も経営者も、このことを十分に認識する必要があります。



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[慶2.0] (5)他者よりも優れている「何か」が必要
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技術者余りの時代には、技術者間競争が激しくなるので、他者よりも
優れている「何か」がないと生き残れません。

その「何か」とは、例えば、次のようなものが考えられます。

(a)柔軟性と吸収力

 ([新航海術の補足]技術者余りの時代には柔軟性と吸収力が重要
 http://www.gamou.jp/comment/2009/08/post-d189.html 参照)

(b)対人能力

(c)「求められる以上にやる」という姿勢



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[慶2.0] (6)ハッスルプレイ:求められる以上にやるという姿勢
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本日は、(c)「求められる以上にやる」という姿勢 について強調して
おきます。

これを、ブルックスは「人月の神話」(1974年に書かれた古典的名著)で、
「ハッスルプレイ」と呼んでいます。


> 野球の監督は、ハッスルプレイという運動能力以外のものの重要性を
> 認識している。
> これは偉大な選手や偉大なチームに不可欠の天賦の才だ。
> 求められる以上に速く走ったり、敏捷に動いたり、一生懸命になると
> いったものだ。
>       (フレデリック・P・ブルックスは「人月の神話」より)

詳しくは、下記記事を参照してください。

 [新航海術の補足]ハッスルプレイという天賦の才
 http://www.gamou.jp/comment/2009/08/post-efbf.html


「求められる以上にやる」という姿勢はどの時代にあっても重要です。

しかし、技術者不足の時代には「求められたことだけをやる」という
姿勢でも生きることができたのに対し、技術者余りの時代においては、
それでは生き残ることができないのです。



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[慶2.0] (7)近い将来晴れるであろう分野・技術に挑戦する
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会社側でも「曇、ところにより小雨」を認識した戦略が必要となります。

まず、曇天や小雨の下、既存のビジネスをしっかりやること。
(そこには、経営者自らがハッスルプレイをすること、技術者に
ハッスルプレイを促すことも含まれます。)

そして、近い将来晴れるであろう分野・技術に挑戦すること。


 関連記事:[新航海術の補足]冬の時代の慶の戦略
 http://www.gamou.jp/comment/2009/06/post-a6f0.html




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